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2017/08
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“公募増資問題”:問題の本質を見据えた規制・改革を
コンサルティングをしていて一番困るのは、解決しようとする問題の対応策を検討している時に、似たよう問題を追加で持ち込まれ、一緒に解決しようという圧力がかかる時だ。確かにAとBの問題は、同じカテゴリーの問題なのだが、実は原因が違っていて、本来解決しなければならないAの解決策を実行することなく、新たなBの解決をもって全体的な問題の解消とする。結果、Aの問題は殆ど解決しない。
 この様なことは企業社会ではよくある事だろうが、Bの問題を追加で持ち込む人たちが悪意なき場合程、プロジェクト自体の成果を、中身のないものにしがちになる。プロジェクトメンバーの多くは、A・B合わせた問題の対応策は講じられたのだから、良いではないかというが、Aの問題に対する実効性のある取組みはなされない。この様なケースの多くは、プロジェクトメンバーがAの問題解決の為の痛みが、Bの場合より大きいことを潜在的に感じてもいる。
 
本稿でも既に取り上げたが、11月24日の東証社長会見時に、東証は公募増資時の規制等の在り方について、証券市場の機能強化策の一環として、業界や行政との調整を行っていくことを公表している。この問題で、東証は公募増資前後の空売りの増加が、本来の需給関係を反映していない恐れがあるとして、空売りした投資家に公募株の割当を禁じる米SECルール105のような空売り規制の検討を示唆しているが、筆者は現在の公募増資が抱える問題の解決策として、このような空売り規制の導入には、基本的に反対する。この公募増資に係る問題Aは何なのか。

 先ず問題Aとは、最近マスコミでも取り上げられている大型の公募増資に関する情報管理の問題である。
調達資金が100億円を超えるような大型の公募増資の場合、国内外の投資家に販売する(所謂グローバール・オファーリング)ため、公募発表前の数日から1ヵ月以上前の時点で海外の主要な投資家に投資ニーズを聞く“ソフトヒアリング”が主幹事を務める証券会社より実施される。問題となるのは、この“ソフトヒアリング”の扱われ方で、当然インサーダー情報なので、情報に接した機関投資家の売買は停止される。しかし、東証社長会見でもコメントされたように、この“ソフトヒアリング”が一部海外ファンドに漏れ、空売りされているのではないかという疑義が欧州の複数の機関投資家から寄せられているという。
この問題は、“ソフトヒアリング”に接しない他の投資家や既存株主にとって、ダメージが大きいものだ。

 次に問題Bに相当するのは、実需のない投資家に公募株を割り当てるべきではないという考え方だ。A・B両方とも公募増資に係る空売りの問題だが、実は問題の本質が全く異なる。問題Aは、海外における“ソフトヒアリング”情報の管理の仕方だが、問題Bは空売りから入る投資家に公募株を割り当てるべきではないという主幹事証券の公募株販売上の問題になる。勿論このような公募株の扱われ方は、公募株を発行する企業から見ても好ましい状況ではないが、公募増資が発表された後、空売りして、公募株で決済することが本当に市場全体に悪影響を及ぼす問題なのだろうか。この事自体は、違法行為ではないし、そもそも市場の需要以上を販売しなければ市場の需給関係は平準化されるはずだ。

 問題Aと問題Bが微妙に重なっている部分も確かにある。“ソフトヒアリング”情報を入手した投資家に公募株を割り当ててしまうような事だが、意図的に行えば犯罪行為なので、そんな事を想定しても意味が無い。内外投資家の信頼を回復する為に、今市場が求められているのは問題Aの解決策で、公募に伴う空売り自体を規制しても余り意味がないと考える。

この問題は、やはりライツ・イシューや公募増資に係る発行登録制度の充実で対応していくべきだろ。
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