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2017/08
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空売り規制問題”:誰の為に何を規制し、何を明らかにするのか
“空売り”が良いのか悪いのかという議論ではない。“空売り”は、市場の流動性を増す上で有効に機能するが、パニックに陥るような時は規制しなければならない。ここまでは、市場参加者なら誰しも合意する最低限の事だろう。実際、今回の金融危機において、パニック的な売りを規制する為に、銘柄全て若しくは金融株に対して、一時的に空売りを規制した国は多くあった。しかし、現在は一部の欧州諸国を除いて空売りそのものを禁止する処置は取られていない。なお、米国に於いては1日に10%以上下落した銘柄に対して、空売りでの売り下がりを禁じるアップティック・ルールを再び導入している。(日本と同様の全銘柄へのアップティック・ルールの適用は、2007年に米SECが一旦廃止している。)

 そもそも“空売り”とは何か。保有しない株式を売却することだが、実際は株式を借りて売ることを指す。何処から借りてくるかというと、個人投資家は証券会社から、その証券会社は自社の顧客保有分若しくは他の金融機関(一般信用)か日本証券金融(制度信用)からだが、現在売買の約半数を占める海外投資家(東証の8月市場統計では49.4%)は、大手金融機関が参加する日本株の貸借市場ということになる。

 長い前置きになったが、日本に於ける“空売り規制”は、次の様になっている。
(1) 原則直前の価格以下での空売りを禁止した価格規制(アップティック・ルール)
※個人投資家が信用取引で行う50売買単位以内の空売りは、本規制の原則対象外。
(2)売付けが空売りであるか否かの別の明示・確認を取引者等に義務付ける明示・確認義務
(3)各取引所における、全銘柄合計及び業種別の空売り状況の日次公表
  ※金融危機前は全銘柄合計を月次で公表するものだったが、33分類の業種別を含めて日次公表へ変更
(4) 売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止。
  ※個人投資家には解り難い事だろうが、空売りしてから約定日までの間に株を借りるか、空売りしてしまった株式が借りるまで、業者間の株式の受け渡しを延長(フェイル)する前提で、海外投資家の空売り注文を執行するサービスを外国証券が行っていた。この行為をNaked Short Sellingと呼び、禁止するのはグローバルな金融規制の流れになっている。(借りられた株なら、空売りしても良い)
(5) 一定規模(発行済株式総数の原則0.25%)以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け。取引所による当該情報の公表。
 ※現在、証券会社毎の空売りポジション保有者の報告表は東証のホームページで閲覧可能となっている。但し、銘柄毎の集計はされていない。

 上記の空売り規制は、(1)~(3)までが金融商品取引法及び施行令の本則部分、(4)と(5)は金融危機後三ヵ月ごとに継続されていたので、恒久措置化が現在金融庁で検討されている。この内、東証が“証券市場の機能強化策”で改定を指摘しているのは、(1)の恒常的なアップティック・ルールは厳しすぎてグローバル・スタンダードではないということと、(5)で投資家の指名まで公表する必要があるのかということだ。

 (1)のアップティック・ルールは元々大恐慌時代の経験を参考に意図的な売り崩しをさせない目的で規制され、戦後の日本でも導入されたが、相場操縦行為への監視がしっかり行われていたり、アルゴリズム取引の障害になるのなら、廃止を検討すべきだろう。一方、空売りポジションの報告・公表は何の為なのだろうか。もしこの報告・公表が、信用取引しか空売り出来ない個人投資家の為に、仮需要の偏在を知らしめる目的なら、投資家名はいらないが、日々の銘柄毎の集計の公表は行うべきではないだろうか。その事は、売買ショア16%(東証8月)落ち込んだ個人投資家の売買を増加させるかもしれない。
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