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2017/09
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日本の社債市場問題の解決策を易しく考える
日本の社債市場は、大手の金融機関や機関投資家と一部のブローカー証券の限られたマーケットで、それも相当に発行市場に比重が偏っている。市場機能としては、発行・流通の両方の活性化が望ましいものの、発行市場の方は低金利と追加緩和策の影響でそこそこの水準だが、流通市場の方は社債の格付けが下がるにしたがって乗数的に取引が閑散となる。日本の社債市場は、グローバルにみてローカル・マーケットの域を出ていない。
そんな状況の中、アジアの競争市場が追いつく前に、何とか欧米の社債市場に規模や内容も追いつく必要があるのではないかと、“社債市場の活性化”プランが日本証券業協会でスタートして2年近くになる。関係者の多大な努力には敬意を払うが、それでも社債取引活性化の為の具体的施策までには、相当距離がありそうだ。

 理由は、活性化議論がブローカー証券にとって多少の痛みを伴う割には、具体的なメリットが見えにくいので、抜本的な変化を避ける方向に議論のベクトルが流れがちになることだ。社債市場の根本的な問題は、流通市場を活性化しようということだが、その為には実際の売買価格などの流通価格情報を投資家・ブローカー間で共有が必要する仕組みが必要だ。つまり、証券ブローカーは実際に取引した社債の値段を公表することになるが、そのコストや負担は誰が負うか、この事も含めて議論しなければ、流通価格情報の共有は中途半端なものになりかねない。

 証券業協会におけるワーキングでは、一応代替案が検討されている。それは、証券日本国内で発行された社債は証券保管振替機構(ホフリ)の機能を使うことだ。現在、日本で発行される流通可能な社債はペーパレス化され、ホフリで決済・保管される。そのホフリに口座を持つ金融機関などに対して、ホフリ側は売買に伴う決済照合サービスを提供していて、社債の取引を行った証券ブローカーや金融機関は社債の売買を行った度に、その取引を照合することが出来る。この照合データの売買値段を利用すれば、業者からいちいち報告させなくとも、市場で実際に取引された値段が分かる。証券ブローカーも新たに売買報告システムを構築する必要がない。但し、現在のこの決済照合サービスは有料なので、利用率は実際の取引された社債決済のうち3割程度のようだ。
それでの良いのではないかと筆者は考える。今まで一部の証券会社や投資家しか知る事が出来なかった社債の実際の取引価格が公表されれば、海外投資家や個人投資家の社債取引参加の拡大が期待できる。また、現在有料な社債の決済照合サービスのコストを無料化すれば、社債売買での決済照合サービスの利用率は上昇し、取引値段のカバー率もアップする。

 しかし、これらの決済照合サービス無料化や流通価格情報を公表するシステムのコストに関して、業界は真剣に議論すべきだ。筆者は、証券ブローカーなどの負担増加は避けるべきだと考えるが、その理由はただでさえマージンの薄い社債売買に関して、これ以上のコスト負担増加は売買仲介のディスインセンティブになりかねない。業界全体で負担という事になると新たな基金が必要になるが、そういえばジェイコム基金があったのではないかと思い出した。ホフリの既存サービスを活用するのであればそれ程重い負担にはならないはずだが・・・。
(※ジェイコム基金=証券市場基盤整備基金、ジャイコム誤発注事件に伴い、50社の証券会社から約209億円の基金が拠出された。既に内部者管理システム≪J-IRISS≫には30億円弱が充てられているという。)

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