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2017/06
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新興市場の問題とは何なのか
大塚ホールディングスが東証1部に15日上場され、東証の時価総額が1.1兆円増加した。今年四月の第一生命に次ぐ大型IPOで、市場では期待とともに祝福ムードでスタートしている。IPOというと新興市場を思い出すが、大塚ホールディングスも第一生命も新興企業ではないし、新興市場に上場もしていない。何を今更と思われるかもしれないが、直接一部に上場するような企業のIPOも、マザーズやジャスダックに上場する新興企業のIPOも、同じ仕組みで上場される。

 最低でも2年近い上場準備期間があり、IPOの主幹事を担当する証券会社が、開示資料作成、取引所への上場審査準備対応を指導し、それから取引所へ上場申請を行い、そして概ね3ヵ月~半年後に上場する。証券会社の組織でいうと、IPO銘柄を発掘する営業部隊があって、上場のコンサルティングを行う部署が1~2年程度面倒みて、上場審査に対応する部署が上場申請をサポートする。結構な重装備(コストがかかる)で、証券会社のビジネスからみると装置産業的な部分がある。だから証券からみると、同じことをするなら当然大型のIPOに集中しがちで、規模の小さい新興企業のIPOは後回しになりがちだった。例えば、取引所の形式基準をクリアしていても、時価総額10億円以上見込めなければ上場申請のサポートも受けられない事例もあった。

 また中堅証券が取り扱ったIPO銘柄の値付けで、企業の経営者の意向を受け、協会ルールを逸脱して公開価格を決定したことが当局より摘発されたり、新興企業の開示資料の虚偽記載が相次いで、証券会社のIPO引受態勢が問題視され、日本証券業協会で引受審査ルールが強化されたこともあった。

 しかし、新興市場の本質的問題とは何なのだろうか。技術的な事は横に置いて、考えてみたい。
例えば、市場が活性化するというのは、市場に商品は運ばれてこなければ始まらないが、新興市場に新興企業を運ぶ役割は、今までは証券会社が担ってきた。市場誘導機能というが、証券会社が行うと装置が重いので、小さいものは運びたがらないなら、証券会社ではない者に市場誘導させてみては如何だろうか。
候補は、銀行やベンチャー・ファンドや公認会計士などだが、証券会社に代わって取引所の上場申請を行うことが出来るようにする。その為には、取引所の上場審査の実質的な部分を明らかにし、取引所の会員証券でなくとも、新興企業の上場申請を行えるようにすべきだ。これらの新たな市場誘導者と、実際にIPOの販売・株式の売買を行う証券会社間で、審査情報を共有する仕組みを取引所が作ることも必要だ。
また、市場の持ち込まれた商品も古くなると鮮度を失うことがあるが、新しい商品を持ち込む為には、これらを市場から排除することも必要で、日経が報道したような新興市場における退場ルールの厳格化(東証)は好ましいことだ。

 日本の新興市場の問題を考えた時、IPO数が中国の7分1だから問題なのではない。日本の新規起業数が中国の7分の1な訳ではないし、日本の新興企業の上場意欲が中国企業に著しく劣っている訳でもない。当然だが、日本の資本市場の方が成熟しているので、新興企業が資本調達する場として、優位にあるはずだ。日本の問題は、それらの意欲ある新興企業を市場まで連れてくる者(市場誘導者)の数が、実質的に数社の証券会社に限られていることだ。この市場誘導者の数を増やさない限り、日本の新興市場問題は本質的に解決していかないと筆者は考える。

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