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2017/10
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ライツ・イシューなど今の時代に合ったファイナンスを=再び期待したい金融行政
企業が市場からリスク資金を調達して、事業の拡大や再構築を図る。資本市場の機能としては当たり前のファイナンス機能だが、日本市場のこの機能は少し揺れているように思われる。先の問題になったのは、第三者割当増資だが、一部にはファインスを使った相場操縦やインサイダー取引など不公正ファイナンスと呼ばれる行為が行われ、新興市場にダメージを与えた。次に問題になったのは、大型公募増資の際の、海外における情報漏れの可能性で、大幅なダイリューションを起こすのに加え、増資公表前の海外でのソフトヒアリングという主幹事が機関投資家に需要を聞く慣行が、不当な売込みを誘因しているのではないかとの疑念が、海外投資家から指摘された。そもそも、日本の公募増資は、大手証券による引受の寡占行為が進み、ファイナンス企業数は少ないながら、調達額は2009年5兆円・2010年4兆円と20年来の水準が続いて、市場から多額の投資資金を吸収している。
 上場企業の主な資本調達方法としては、公募増資・第三者割当増資そして株主割当増資などがあるが、この増資の際に、何が問題になるか、もう一度整理しておく。

●既存株主のとってのダイリューション(持分の希薄化)=現在の会社法では、授権株数の範囲なら取締役会決議で発行することが出来るが、第三者割当に関しては、既発行の25%以上の株数を発行する場合、開示や取引所ルールでの実質的規制が始まっている。公募増資に関しては、今のところダイリューションの限度に関する規制はない。

○調達する資本の、資金使途=企業がリスクを取り、新たな収益機会が望めるなら、既存株主もダイリューションの痛みに耐える。しかし、資本を調達した後に、その資金が何に使われているが、明確化するルールは現在無く、発行企業のIRに頼っている。(メガバンクの増資などで、大量に調達された資本が、結果として国債購入に向かっているなら、株主をこれほど落胆させるものはない。)

●増資情報の管理=今の日本の市場では、大規模な(発行済み株数に対して)公募増資は売りという認識が市場に定着している。その為、大規模な公募増資情報の取扱いは、厳格化する必要がある。但し、今回のりそなホールディングスが行ったように、計画段階で事前に発行登録制度を使って増資規模や目的を公表しておけば、増資情報は周知されるので情報管理リスクは低減されるが、発行登録前の情報管理の重要性は変わらない。

●増資の割当て先=安定株主となりそうな先が、既存株主にとっては一番望ましい。次に株主割当増資だが、既存株主が新株を引受ける権利を放棄した場合、代わりの投資家が参加できる仕組みが好ましく、その為ライツ・イシューが期待されている。公募増資は、公に募集するイメージだが、限られた引受証券の顧客が、それも良い銘柄の増資ほど抽選で割当てになることを思えば、公募増資での新株を配分する仕方も再考する必要があるのではないだろうか。公募銘柄を、増資公表後空売りした投資家に対して、新株を割り当てる事を禁止することは、余り既存の株主にとって意味が無いように思われる。そもそも空売りがあるから公募株が安くなるのではないし、この規制が若し行われても、単に主幹事証券の販売活動を優位にするだけだ。

○増資後の情報発信=希薄化することは事実なのだから、その後の既存株主への配慮は、十分な企業の情報発信を持って報いるべきだ。

○株主への利益還元策=無理に増配しろと言うわけではない。但し、調達した資本の有効活用で利益増を狙うのは当然なのだから、その際の株主への利益配分の方法(配当及び配当性向の増加・将来の自社株取得枠拡大など)は明確にしていくべきだ。

 結論から言うと、既存株主に十分配慮したファイナンス方法を検討し直す時期に来ていると考えられるが、その意味でライツ・イシューの環境整備が、大いに期待される。報道されるような開示での便宜を図る規制緩和も歓迎すべきことだが、昨年あった日本最初のライツ・イシューでは、多くの証券会社がその取扱いを見送っていた。その意味でも、2月から再開されるという金融審議会で、証券会社を含めた市場関係者が堂々と議論し、方向が決すれば、現場で対応するように証券会社に求める。そんな金融行政を、金融審議会の再開に合わせて、再び期待している。

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