*All archives* |  *Admin*

2017/11
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
公募増資の仕組みを、やさしく考えてみよう=その2
前回に続き、公募増資の問題につき、仕組みを見直しながら考えてみるが、件数は少ないとは言え大規模なダイリューション(希薄化)を伴う公募が行える市場は、先進国では日本だけではないかと欧米の機関投資家からの指摘もある。企業にとって資本市場の最も重要な機能は、リスクマネーの調達(資本調達)なのだから、この機能は大切に使って欲しい。その意味で、金融庁が行おうとしているライツ・イシュー(株主割当増資、最近はライツ・オファリングとも言う)の実務環境整備には期待している。
※[説明に使う事例は前回同様にりそなHGを使うが、当該銘柄は現在値決め前なので、投資判断は以下の説明を参考にせず、開示された資料をよく読まれてご判断いただきたい。]

○どこでいくら売るべきか
 大型の公募増資は、日本だけの募集ではなく欧州市場など海外(米国市場は開示手順が重いので、普通は避ける)で売りことも想定している。東証の売買高の6割以上を海外投資家が占めているので、海外でも公募株を売りたいというのは分かるが、実際銘柄によりどのくらい海外で募集できるか分からないので、主幹事を予定している証券会社は、海外の主要な投資家に事前に投資ニーズを聞いてみる。これが問題視されたソフトヒアリングだが、証券会社のこの行為によって、大型公募増資の情報が事前に漏れ、海外投機筋などの増資銘柄に対する増資公表前の空売りを誘っているのではとの疑念を持たれている。これらを避ける為には、事前に公募増資することを公表してから、ソフトヒアリングすれば良い。りそなHGは、11月に発行登録を使って公募増資の概要を公表し、その後、海外投資家にソフトヒアリングしたと思われるが、その結果、公募増資12億37百万株のうち、国内募集分6億52百万株(約52.7%)、海外募集分5億85百万株(47.3%:但し、このうち1億6百万株分は、実際の募集活動が始まってから証券会社が引き受けるかどうか判断できる分)とした。

○値段はいくらで売るべきか
 当然のことだろうが、市場価格より安くなければ、一般の投資家を相手に公募株を売ることは難しい。それで、公募株の需要を投資家に聞くときに何%ディスカウントなら買うかを聞き、投資需要が企業の望む株数に達したなら、公募株の販売価格を決めて募集に入る。今回のりそなHGの様に、大量の投資需要を必要とする場合など、企業価値を高める今後のビションを十分に投資家に理解させる必要があるが、公募公表から値決めまでの間、ロードショウという投資家向け説明会を海外で実施することもある。金融商品取引法の問題もあるだろうが、りそなHGの様な大規模なダイリューションを起こす公募増資については、株主や投資家に発行会社が自ら説明する機会としてロードショウの様なことをした方が良いように思う。
一方、実際の公募増資の発行価格は、投資家が望むディスカウント以上に更に4~5%程度下げられるが、この部分は引受証券会社の公募株販売の為の手数料になる。つまり、投資家が公募株に払い込むお金と、企業が受け取る公募株のお金が違うのだが、この方法だと企業は公募株募集のコストを払っていない。但し、その分は投資家及び株主が負担していることになる。大型ファイナンスにおける既存株主のダメージを思えば、公募コストに困る新興企業以外は、そろそろこの方法を止め、企業が負担する方法に変えるべきではないだろうか。

○補講:販売をスムーズに進める仕組み
 相場操縦は禁止行為だが、ただ一つ行って良い場合がある。公募増資などのファイナンスをする場合、募集期間中に募集する価格より企業の株価が下落した場合、募集活動を容易にするため、一定のルールに基づいて引受証券会社が市場から買っても良い。この行為を安定操作取引と言うが、安定操作を行うかどうかは引受証券自らの判断に委ねられる。
 もう一つ別のスキームがあって、公募増資におけるオーバーアロットメントという方法だ。この方法は、一般には非常に解り難いので、りそなHGの事例で説明する。
・国内募集分は6億52百万株だが、募集価格が決まれば、野村証券を始めとする引受証券会社はそれより6千3百万株多い7億Ⅰ5百万を販売してしまう。
・募集後、りそなHGの株価推移も順調であれば、野村は6千3百万株ショートしてしまっているが、実際はこの分りそなHG株を借りている。
・この借りた株を返済する為、野村はりそなHGに対して公募株と同じ値段で第三者割当方式の新株を発行することを要請する。
・今回のりそなHGの公募の場合、上記の要請は2月17日までに行われ、2月18日に第三者割当で野村に公募株と同じ新株が割当てられる。
・野村は借りた株を返済することが出来る。勿論、野村は6千3百万株全部ではなく、一部の権利を行使しても良い。
・引受証券による公募株の募集が芳しくない時や、公募株の募集後、第三者割当の要請期限まで募集価格以下で株価が推移した時など、これ等の第三者割当が全く実施されない時もある。

 以上、公募の現在の仕組みをやさしく説明しようと試みたが、余り易しくなかったかもしれない。やはり、一般投資家や株主に分かり易い増資方法として、ライツ・イシュー(ライツ・オファリング)の実務態勢整備が待たれる。
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード