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ネット証券の限界と期待=ITからICT活用へ
先ず言葉の定義から、ICはInformation Technologyで、 ICTはInformation and Communication Technologyの略語。基本的には同じことを指す場合が多いが、ICTは、ネットワーク通信による情報・知識の共有が念頭に置かれた表現とされ、海外ではITよりITCが名称として通用しているようだ。日本でも、2005年に総務省がそれまでのIT政策大綱からICT政策大綱と改称したのを契機に、ICTが使われる場合が多くなっている、(IT用語辞典バイナリより)
冒頭より門外漢がいきなり用語解説から入って恐縮だったが、証券業界は、まだITの段階に留まり、ICTを自らの戦略に取り込めていないのではないかと思われる。つまり、Cの部分=ITを使ったコミュニケーションの部分が、意識されていないか、まだ活用を模索している段階にある。誰とコミュニニケーションするかと言えば、当然だか顧客である投資家を第一の対象とするべきで、市場仲介者として情報の非対称性(あなたの為の特別な情報)に頼るのではなく、ITCを使って投資家と情報・知識の共有をどう計っているかが次のビジネスモデルになることを期待したい。

この様なことを考える背景は、ネット証券の成長の限界を強く感じているからだ。過去10年、業界におけるITの恩恵を最も受けたのは、ネット証券だった。手数料自由化(1999年)を背景に、店頭や電話で行っていた株式売買の取次ぎを、ネットを使ったシステムに替え、大幅にコストを削減するとともに、ITを使った取引の利便性を提供することで、ディトレーダーなどのヘビーユーザーを生み出した。

しかし、個人投資家の日本株取引低迷以外にも、以下の様な要因で、ネット証券というビジネスモデルが、ある意味では成長の限界に近くなっているのでは思われる。(注:ネット取引の限界ではない。)
・ネット証券を支えていたディトレーダー達は、投資行動が変わってきていて、株価指数・FXへ取引が移行している部分がある。その為、取扱商品の多様化を迫られているが、一方、取引所取引の高速化・レバレッジ規制強化とロスカットルールの徹底によって、システム負担も増している。
・対面営業中心だった証券のネット化が進んでいる。ネット証券の主要顧客層であるディトレーダーをターゲットに、大手が手数料競争を仕掛けてきている。また、その他の証券も、既存顧客層のネット利用を強め、対面営業においてもネットを使ったサービスで顧客の利便性を高めようとしている。
・アジア投資が大きなトレンドとなっているが、その為にはアジア各国の市場インフラを取り込まなければならず、日本のネット証券が海外業者等のインフラを利用するしかない。つまり、アジアを中心に海外株(含むETF)取次ぎを行おうとするとコスト高になる。

つまり、既存証券との競争が本格化する中で、新たなコスト増加に耐えていかなければならないということになる。嘗ては、日本の証券業界では、米国で起きた変化が10年後に起きると言われたが、米国のネット証券も1990年代に大きく成長し、2000年ITバルブを機に大きくその内容を変化させた。
 米国におけるトップ3社は次の様な状況にある。(3社3様)
□チャールズ・シュワブ:売買手数料から資産管理業務への移行。独立系の投資顧問業者をネットワーク化し、彼らへ売買や決済・保管インフラを提供するとともに、自社のファンドを供給したり、大手の営業マンの独立支援まで行っている。
□Eトレード:銀行業務に進出し、個人向け住宅ローンに傾注して一時は金利収入が収益の半数を超えた。しかし、サブプライム・ローン危機の影響は大きく、実質的に再建中。
□TDアメリトレード:先の2社とは異なり、他業種には進出せず、ブローカーとしての手数料が殆ど。ただし、他社の買収によってリーマンショック以降も口座数を拡大していて、現在800万口座を超えている。手数料低下に対しては、規模の拡大によって対応している。

米国3社の後を追うのではなく、投資家と情報・知識を共有する仕組みを作っていくことで、新しい顧客層を開拓していくネット証券モデルが次の10年に期待されている。
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ジャンル : ビジネス

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ソース: ネット証券の限界と期待=ITからICT活用へ (資本市場研究所ベータ版) 記事の後半で、アメリカのネット証券大手3社(チャールズ・チュワブ、E トレード、TD アメリトレード) の 動向をまとめています。E トレードは住宅ローンに注力してやけど中、TD アメ...
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