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2017/10
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為替デリバティブと中小企業
 どうも市場関係者としては違和感が残るので、敢えて書きたい。昨年12月ぐらいからデリバティブ倒産という言葉が、よくマスコミで取り上げられるようになってきたが、本業で頑張っている中堅・中小企業が、昨年進行した円高によって、保有する為替デリバティブ商品で大きな損失を出し、その為に倒産まで追い込まれる。この事を指すらしい。円高倒産なら分かるが、どうしてデリバティブ倒産なのか。
実際のデリバティブ倒産と呼ばれるものは、次のようになっている。(2010年は東京商工リサーチ、それ以前は帝国データバンク)
2003年~2007年 4件
2008年 3件
2009年 9件
2010年 26件
倒産企業の内訳をみると、水産物や雑貨を輸入販売する会社が多いようで、本来なら円高のメリットを受けるべき業種だが、それが円高により数億円規模の損失を出し、今後も大きな損失が続くことが見込まれ、そして倒産に追い込まれる。負債規模では、10億~50億円の中堅クラスが多いようだ。この数字が社会問題として取り上げる程多いのか如何かという議論は横において、一般的なマスコミにはデリバティブというと何か胡散臭く取り上げられることが多い。金融危機以降、特にそう感じている。

 しかしデリバティブは、派生商品とも呼ばれ、本来は株や債券・為替取引などのリスクをヘッジする目的のものだ。上記の倒産した企業も、将来の買わなければならない外貨を、円安リスクに備え、長期に渡る為替予約目的で、通貨オプションを組み入れた為替デリバティブ商品を金融機関より購入した。問題は、その販売された為替デリバティブが、セロコスト・オプションや仕組債の様にレバレッジが掛かっていたり、取引量を大きくする為に長期のリスクをコントロールしようとしたものだった事かもしれない。しかし、適合性の原則を厳守しなければならない個人ならいざ知らず、財務的判断とリスクを知る中堅企業が、このデリバティブ商品を倒産の主因にすることは、違和感を感じる。倒産原因は、本来歓迎すべき円高なのだ。

一方、中小企業への為替デリバティブ商品販売に関する銀行への聞き取り調査が、金融庁により実施されたことが報道されている。聞き取り対象は約120行だが、昨年9月末段階で中小企業の為替デリバティブ商品の契約残高は約4万件、約1万9000社が保有している。これらは2004年以降にメガバンクが中心になって販売されたが、銀行の優先的地位の利用が一部では問題視されているようだ。全銀協の会長は、「本業がしっかりしている企業が為替デリバティブの問題で倒産の危機に陥らないよう、積極的にフォローして解決策を示していく必要がある」とコメントされているが、一般には良く分からないだろう。本業がしっかりしている企業が、為替予約も含めた財務戦略で何故破綻するか。

 デリバティブは派生商品なので、買い手のニーズによって様々に派生していく。売り手=販売者は買い手のニーズに合わせて、カスタマイズするのが本来の考え方だ。もし、為替デリバティブ商品の販売に問題(優先的地位の利用以外で)があるとしたら、売り手が買い手の本当のニーズに合わせた商品設計を、怠った事にある。つまり、販売者が顧客のニーズを取り入れた商品を示さず、大量に組成した商品の販売を優先したのなら、それは銀行における金融商品販売態勢の問題でもある。デリバティブは、条件の算出などで複雑な算式を多用するので、よく難しいと言われるが、しかし、デリバティブ商品の販売者は相手の目的に沿った販売活動が行える知識程度とモラルは、少なくと持つ必要がある。

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