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誰が株主なのか=MBOと信用取引
2月15日に行われた日本証券業協会長の定例記者会見では、信用取引における証券会社の議決権行使問題に質疑応答が終始していた。これは、幻冬舎のMBOに絡んだ立花証券の議決権行使が注目されたいた為だが、その概要は次のようになる。

・2010年10月29日、幻冬舎(7843)に対するMBOが公表される。買付者は見城社長の持株会社、TOB(公開買付)での買付価格は22万円(前日終値に対して50.2%のプレミアム)
・2010年12月6日、イザベル(投資顧問業、ケイマン籍)が同社の大量保有報告書提出、保有株数は8347株で議決権保有株数の30.6%。なお、同株式の取得はTOB公表後の11月24日から開始され、立花証券の信用取引での取得であることは開示されていた。ただし、イザベル自体の資金については12月9日の変更報告書であらためて開示されている。
・2010年12月13日、TOBの買付条件を変更、買付価格は22万円から24万8300円へアップ。
・2011年1月6日、TOBの成立、買付株数は15968株で議決権保有株数の58.1%。
(※定款変更は特別決議になるので、議決権の半数以上の行使、及びその3分2以上の賛成が必要)
・2011年1月7日、TOB後の少数株主スクイーズ・アウトの為、TOBに応募しなかった株式を、会社側が実質的に現金で取得することを可能とする全部取得条項付株式へ転換する為、定款変更を行う臨時株主総会の基準日を、同日に定める。
・2011年1月20日、イザベルが提出した大量保有報告書で、保有株数は10198株(議決権保有株数の37.2%)とされる。この時点では、イザベルが信用取引で取得した株を現引きするか注目された。
・2011年2月3日、臨時株主総会の基準日である1月7日時点の株主名簿確認から、イザベルが現引きせず、大量保有報告書で開示していた当該株式の株主名簿上の名義は、立花証券(この分は9727株で、議決権保有株数の35.4%)にあることが判明。(つまり議決権の行使は立花証券)その為、臨時株主総会での立花証券の議決権の行使が注目される。
・2011年2月15日、立花証券は議決権行使せず、定款変更が成立、TOB後の残った株式は、全部取得条項株式へ転換されるため、3月16日をもって上場廃止になることが確定した。

以上の経緯から、この事案について次のようなことが問題と考えられる。

●信用取引における議決権行使の在り方
証券会社が信用を供与する(つまり資金を貸した)買付けで取得した株式は、取引の担保として証券会社名義で管理する。その為、配当や権利などは証券会社自ら処理して、買付価格等を修正する。議決権行使も通常は市場仲介者として中立を維持する為、行使しないのが慣行になっている。しかし、問題提起としては、MBOなどで極端に株主の権利が変更されるような総会議案で、議決権を放棄してしまって、株主や投資家の為に良いのかという事だ。残念ながら、そのガイドラインは未だない。

●ファンド向け信用取引の在り方
最終的な大量報告書によると、この事案ではイザベラの自己資金は約65百万だが、買付資金(立花証券の融資)は23億2千万円になる。つまり、35倍以上のレバレッジになるが、個人投資家が利用する信用取引とは著しく異なる。若しこの信用取引が、CFDの様に実質的に差金取引で現引する可能性が無いのなら、立花証券は議決権行使に関して自ら行うことを早期の段階で開示する必要がある。ある意味では、この事案で証券会社に議決権があること、また通常は証券会社が議決権行使を行わないことなどは、投資判断に影響を及ぼす重要事項に類するのではないだろうか。

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