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個人投資家にとっての情報ベンダー
情報ベンダーは普段個人投資家にとってあまり意識されない。しかし、少し前までは取引所が個人投資家までは直接市場の情報を伝えてはくれなかったので、金融情報ベンダーに直接若しくは間接的に頼っていた。その代表的な企業として、QUIUKとモーニングスターを取り上げたいが、金融情報ベンダーが個人の投資に果たす役割についても考えてみたい。

 先ず、株式投資家なら誰でも知っているQUICKだが、一昔前の証券会社の店頭には同社製の株価ボードや端末があって懐かしく思い出される業界の方も多いだろうか、その事業の沿革は次の様なものだ。
・1971年:日本経済新聞社を中心に証券、銀行、日立製作所など33社の出資で設立。
・1974年:オンラインリアルタイム証券情報システムのサービス開始
・1984年:金融指標の一覧表示システムのサービス開始
・1986年:総合金融情報システムのサービス開始
・1997年:機関投資家と証券会社を結び、発注・約定業務を支援するービス開始
・1997年:インターネット時代に先駆け、オンライントレード向けサービスなどを開始。資産運用支援サービスを展開。
・2000年:機関投資家の運用ガイドラインチェックやSTPなど定型業務を支援するシステムが本格稼働
・2004年:中国株営業をサポートする「中国情報Web」サービス開始
・2006年:個人向け資産運用コンサルティング営業のトータルソリューションサービス開始
・2007年:マーケット分析とポートフォリオ運用のための資産運用ソリューションサービス開始
・2009年:債券為替トレーディングやデリバティブ・仕組債投資にフォーカスしたサービスをリリース
同社の主要な顧客は証券会社や銀行だが、以上の様な変遷から彼らの顧客である投資家が何を求めていたかが分かる。また金融情報ベンダーとして、金融機関や機関投資家向け情報やその加工が主力ではあるが、個人投資家向けにも金融商品やマーケットニュースなどの情報を提供する資産運用応援サイト「QUICK Money Life」を運営している。そのコンセプトは「個人投資家と運用会社・販売会社を結ぶ」であり、証券会社や銀行、事業会社に提供してきた証券金融情報の中から、個人向けに内容を整理・簡易にして提供している。

 一方、モーニングスターは投信評価から始まった情報ベンダーだが、同社も個人投資家向け投資情報サイトを運営しており、個人投資家が目的に合わせて投信を選択しやすいようファンド中心に投資関連情報を提供している。その直近の収益構造は次の様なものだ。(単体:本年度第3四半期決算説明資料より)
・ファンドの評価やデータなどによる売上げ・・・28%
・株式新聞などの購読(ウェブ版を含む)による売上げ・・・24%
・株式関連のデータ分析やアナリストレポートなどの情報配信による売上げ・・・22%
・投信の運用会社などからのウェブ広告による売上げ・・・10%
・資産運用セミナーなど運用コンサルティング関係による売上げ・・・8%
・その他、新聞広告や確定拠出年金関連・IR説明会などにより売上げ・・・8%
なお、今後の事業展開としては次の様な戦略が示されている。
○個人向け有料サービスのトータルソリューション=本年5月にウェブやスマートフォーンなどで提供開始
○金融機関向けデータ提供サービスの拡充=証券(現在の顧客数16社)や銀行(同19社)、運用会社
○確定拠出年金サービスの更なる推進=現在企業型約360万人、個人型11.8万人の大幅な増加を見込んで
○投資助言サービスの拡大=ファンドオブファンズや投信ラップ口座への助言の拡大や、日本版401Kや日本版ISAへの投資助言需要増加を期待

ICTの発達や個人のウェブ利用拡大によって、金融情報ベンダーの提供するコンテンツを、個人投資家が直接利用できる範囲も広がっており、ネット上に溢れる膨大な投資関連情報を、個人投資家のニーズに沿って整理して提供する機能が期待されている。

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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

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