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2017/10
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戦前の清算取引について
 昨年の個人の日本株取引は、売買代金ベースで東証3市場全体の23.3%で前年(2009年)に3割近くあったものが再び低下したが、その6割が信用取引になる。最近、信用取引に関する規制緩和案が検討され始めたが、楽天証券が1月下旬に実施した信用取引に関する個人投資家向けアンケート調査では、規制緩和により同一の保証金で1日に複数回の売買が可能となれば、信用取引利用者の7割が取引を増やすと回答している。また、同調査では、信用取引と代替手段として先物取引やCFDを上げる投資家もいたが、戦前の株式取引の9割以上を占めていた清算取引は、この先物や差金取引としてのCFDに近い部分もある。その清算取引の概要は、次の様なものだった。

 先ず日本における株式取引所は1878年に、東京と大阪に設立されたが(現在の東証と大証の前身)、取引所での取引は、実物取引と差金決済である清算取引に分かれていた。実際の取引所における取引参加者は仲買人と呼ばれ、業法により行政の認可を必要とし、また各取引所の定員数が定められていた。取引所外の取引においては、現物株式の店頭取引を行う現物商がいたが、清算取引については取引所集中義務があり、この仲買人を通じてしか行うことが出来なかった。仲買人の機能は、顧客からの委託注文の取り次ぎを行うブローキング業務と、自己で売買するディーリング業務に分かれる。

 江戸時代の米先物取引をモデルにしていると言われる清算取引は、レバレッジを掛けた取引なので証拠金を必要とするが、仲買人は投資家の清算取引を取引所に取り次ぐ場合、委託証拠金として売買代金の10%程度を受け取り、取引所へは売買証拠金として5%の資金を差し入れていた。取引所における売買手法は、売買注文を板に全て記載する板寄せと、売り手買い手が継続的に変化する価格で取引を仮約定していくザラバとの折衷方式による単一値段競争売買方式がとられていた。取引の期間については、最長3ヵ月3限制とするのが基本的な取引モデルで、各月末を決済日とするので3つの価格が毎日つくことになる。

この取引の決済については、次の3つの方法が取られていた。
①仲買人は、期限内に反対売買を行い、プラスの場合は取引所から利益を受け取り、マイナスの場合は取引所へ相当額を差し入れる。
②仲買人は、買いの場合、その買付代金総額相当の現金を、売りの場合、現物の株式を取引所に差し渡す。
③期日の同額の反対売買と新たに取引を行うことで、期日を実質的に繰り延べる。
なお、1924年からは短期清算取引制度も導入され、期限は業法により7日以内とされていたが、決済の基本的な方法は、上記①~③までの方法を1日単位で行う方法に近い。
3つの決済方法のうち、実際の現金や株券が必要な②の方法を取らなければ、実需に関係なく売買を行うことが出来たが、言い換えれば清算取引は取引の仮需用の創出には役立つ仕組みだった反面、投機性の強かったことも否定できない。

 上記の清算取引は、形式的には差金取引なのでCFDやFX取引に似ているが、大きく異なるのは、取引の与信行為に係るリスク管理の徹底、レバレッジ規制、ロスカットルールの徹底に加えて、取引対象の情報の非対称性が、取引参加者間で可能な限り小さくなっていることなどが挙げられる。

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