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2017/09
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MBOでの株主とアドバイザーの問題
 今年に入って上場企業のTOB(公開買付)は13件(3月4日現在)公表されているが、そのうち半数以上の7件は、企業の経営陣が実質的に株式を取得し、上場廃止を目指すMBO(management buy-out)である。最近のMBOは、一般的には直前時価に対して大きなプレミアムが付いたTOBを実行することが多く、また少数株主を排除していくスクイーズ・アウトが行われていくので、市場や株主のMBOに対する関心は高い。

【増加の背景】
大きな要因は企業が割安に放置されていることだが、内部統制報告者や四半期開示などの上場企業側のディスクロージャーに関する負担が増加していることも指摘されている。また、経営者からみると、上場廃止によって、思い切った事業の再構築を計り、再び企業価値向上を目指す行動がとり易いとされている。一方、金融危機後の回復で経営陣が金融機関等からMBO資金が調達しやすくなっている。

【MBOの主なプロセス】
①TOBを公表し、経営陣は議決権総数の3分の2以上の株式取得を目指す。(定款変更を可能とする為)
②TOB成立後、株主総会を開催し、普通株を全部所得条項付株式に替える定款変更を行う。この全部所得条項は、大部分を保有する経営陣には議決権のある株式を割り当て、その他の残っている少数株主には企業が現金を支払うなどして株式を株主から所得することが可能な株式を割り当てることが出来る。
③企業側が現金TOBに応募しなかった株主を排除して行く為、全部取得条項を行使し少数株主から株式を取得するが、その結果として経営陣の100%子会社となる。
④その結果、上場は廃止される。

【株主の対応】
TOBに応じるか、TOBに応じなければ全部所得条項株としていずれ現金で企業に取得される。この時の価格はTOB価格が参考にされるのが一般的だ。但し、少数株主の権利として、株主総会決議が必要な事項や企業の形態が大きく変わる場合、企業へ保有する株式の買い取りを請求する権利があって、この買取価格が不満な場合、裁判所に価格決定の申し立てをすることが出来る。初期のMBO案件では、TOB価格などを不満とする一部株主がこの権利を利用したケースがある。

【株主としての問題】
MBO対象企業であっても上場廃止するまでは、株式が売買可能で新たな株主となることが出来る。その様な新たな株主が少数株主権を利用する目的に関しては、法制度上の議論もある。また、最近ではTOB公表後に信用取引で3分の1以上株数を取得したケースがあり、株主総会での議決権行使の動向が注目された。

【MBOのポイントとアドバイザー】
最も市場の関心を引くのはTOBの買付価格だが、買い付ける経営陣はその価格算定の根拠を公表すると共に、買付の対象となる企業側も買付価格やMBOそのものに対して意見表明する必要がある。この企業側の表明は、通常買い付ける経営陣を除いて検討され、第三者機関の設置や外部の意見や算定書を判断の根拠にするケースが多い。アドバイザー業務の目的は、MBOプロセスを滞りなく進める手助けをすることだが、その間の関係者間での下記の様な利益相反や、株主・投資家の反応をどの様に調整していくか、その力量が問われている。

・経営陣と既存株主の間のTOB価格を巡る利益相反(正当な株価に対する検証)
・TOB価格公表後に新たに株主になるものへの対策(市場・株主対策)
・株主総会決議や100%完全子会社化での、少数株主の買取請求権行使への対策(少数株主対策)
・MBOプロセス全体における正当性の確保=経営陣・企業・少数株主それぞれに対して(プロセスの法的正当性)

以上のように案件としては相当複雑な利益相反関係が生じることもあって、アドバイザーはそれぞれの専門性が問われ、かつアドバイザーとしての利益相反にも注意を払わなければならない為、最近のMBOを始めとするM&A案件は、複数のアドバイザーが参加するケースが普通になり、かつ其々の専門性がより高いレベルで求められている。

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