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2017/10
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今、改めてライツ・イシュー推進への取組みを
大震災による企業の被害状況が確認され、復興にむけた取組みが今後活発化することを1市場関係者として祈っております。その為、資本市場は多くの上場企業に対して、リスクマネーを提供することが肝要だと考えますが、同時に既存株主に配慮したファイナンス手法の確立が一刻も早く求められています。上場企業が、大規模にリスクマネーを調達しやすい仕組みとして、ライツ・イシューの対応が早期に準備される必要があります。

 昨年12月24日に金融庁より公表された“金融資本市場及び金融産業の活性化等の為のアクションプラン”では、機動的な資金供給の促進する為の施策として「ライツ・オファリング(本稿ではライツ・イシュー)が円滑に行われるための開示制度等の整備」があげられているが、ライツ・イシューの現状について簡単にまとめてみたい。

【必要とされる現状】
●大規模(発行済株式総数の2割程度を超えるもの)な第三者割当増資や公募増資によって、当該銘柄が大きく下落。昨年夏以降、海外投資家からの批判も高まった。
●公募増資を行おうとした場合、引受ける証券会社の審査を受ける必要があるが、資金調達後の企業価値か増加すること(早期の増益や業容拡大)を示す必要がある。簡単に言うと、株価が上がる見込みのないものは証券会社が引受けられないということだが、この引受審査対応が2ヵ月以上かかる。
●大規模な第三者割当増資では、一部に引き受けるファンド側によるインサイダー取引等の違反行為や裁定行為もみられ企業価値をかえって損なう場合があったため、発行済みの25%以上を割り当てる場合の法制度上の対応が厳格になっている。

【ライツ・イシューの概要】(※事例説明を簡略化)
・例えば、時価総額100億円の企業が、ライツ・イシューで30億円調達したいケース
・1株を保有している株主に対し、0.3株分の新株を買うことが出来る新株予約権(ライツ)を割り当てる。
・この新株予約権は、東証に上場されるため、新株予約権を不要とする株主(つまり新株を買わない)は取引所でその新株予約権を売却することが出来る。
・新株を買う株主は払込日に新株の代金を払い込むが、株主でないもので新株を新たに買おうとするものは、取引所で売買されている新株予約権を買付け、払込日に払い込む。新株予約権が割当てられてから新株の払込日までは、現状では2ヵ月程度。

【現在の課題】
・企業が望んだ資金額がちゃんと調達できるか=つまり株主や投資家が払込日に新株へ資金を払い込んでくれるか⇒昨年実施されたライツ・イシュー第1号のタカラレーベン(8897)は新株予約権の行使率95.7%
・一旦新株予約権を株主に割り当てた後、払込日まで届出書提出や株主への目論見書発送など時間的制約があり、現状では2ヵ月程度時間がかかる。その間、市場の変動リスクにさらされるので、極力この期間を短縮すべきとの多数意見がある。
・投資家が口座をもつ証券会社の事務作業がライツ・イシューに慣れておらず、またオペレーションが確立していない為、取り扱わない証券会社が多数ある。昨年のタカラレーベンの案件では、ネット証券や大手証券の一部しか取り扱っていなかった。

【規制の緩和等】
○〈東証の新株予約権上場ルールの緩和:2009年12月〉ライツ=新株予約権を株主へ付与しやすくする為、それまでは新株予約権1つについて1株以上のものしかライツとして上場できなかったが、この規制を撤廃した。つまり1新株予約権に対して0.3株のように、企業が必要とする資金に合わせて株式付与割合を設定できるようになった。
○〈開示府令の改正による期間短縮:2010年4月施行〉株主割当増資として、新株予約権を割り当てる基準日の25日前まで有価証券届出書の提出が必要だったが、これを15日前に事前手続きが短縮されている。
○〈金融商品取引法改正予定による利便性の向上:2011年度中目途〉目論見書の交付を不要とすることがメインだが、その為の条件として有価証券届出書をEDINET(金融庁の開示システム)に掲載し、アドレスを新聞で告知することで代替できるようにする。これにより、目論見書の事務・コスト負担がなくなり、資金調達の期間も1─2週間程度短縮できる。その他には、株主が権利放棄した分の新株予約権を証券会社が買い取って売り出すコミットメン型ライツ・イシューへの対策や、米国株主への対応が整備される予定である。

【証券ビジネスとしての期待と課題】
○大型の公募増資は、大手証券か投資銀行のほぼ独占になっていたが、ライツ・イシューだとコミットメント型であっても引受リスクは限られるので、中堅証券以下の取扱い拡大が期待される。少なくとも、公募増資よりは、多くの証券会社がライツを取扱い、企業のファイナンス活動に参加することが出来る。
●ライツとしての新株予約権の売買に対応していなかったり、権利行使の実務が確立していない証券会社が未だ相当数あるように思うが、日本株を扱う証券会社であれば、早急にライツ・イシューの態勢整備を行うべきだろう。


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