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2017/11
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個人の社債投資が拡大する為には
金融危機後の2009年5月、孫さんのソフトバンクは格付けBBB期間2年で600億円の個人向け社債を発行した。社債の発行環境がまだ悪かったこともあって、利率が5.1%という高水準で話題になったが、この年は社債発行における個人向けの割合が1割(募集額で1兆円以上)を超えていた。しかし、日本の社債の保有比率で個人が占める割合は、未だ2%に満たない。また、流通市場でも個人の売買は全体の0.03%未満(2月公社債売買高)で、投資家としての存在感はない。であるのに何故標題をつけたかというと、社債市場にとっても、個人の資産運用にとっても、社債投資は今後重要なテーマになってくる可能性がある。

個人が預金とは異なる確定利回り商品を求めていると仮定すると、その為に社債は最も適切な金融商品なのだが、いくつかの乗り越えなければならない壁もある。

【流通の壁】
一つ目の壁は、証券や金融機関の販売現場にある。社債も含めて債券投資は、元々1億円券面が主流で、個人向けに限って100万円券面とするが、発行時の募集も、既発行債の販売も、販売現場での取扱いは10年来変わらないように思われる。社債も2008年よりペーパレスになっているのだから、もっと細分化した販売や、ITC技術の利用で商品部や販売員に負担をかけない販売方法が待たれる。

【情報の壁】
二つ目の壁は、社債に関する情報の壁だが、これは次の3つほどある。

・その社債の利率と価格は適正なのか=価格情報だが、米国などのように個人も利用可能な流通価格情報を共有する仕組みが待たれる。現在、日本証券業協会において社債市場の活性化に関する懇談会第4部会“社債の価格情報インフラの整備等”として検討が進められているが、実現の為に価格情報を共有する仕組みのコスト負担を誰がどのように行うか議論することが必要と思われる。

・その社債はどの様に安全か=社債は発行会社が元本を保証するもだが、その発行会社がどの様な状況になった時、期間前に償還されたりするか社債要項に記載されている。投資家の債権者としてのリスクを守るための投資家と発行会社の契約だが、この内容を判断するための会社の財務情報がちゃんと公表されているかどうか。また、投資家の為に社債を管理しているものは誰で、投資家と利益相反がないかどうかなども問題となっている。つまり、本来は投資家の為に発行会社を注意深く見守っている立場の社債管理人が、その会社に融資をしている銀行なら、発行会社の財務内容が悪化した時、本当に投資家の為に社債の権利を守る行動がとれるかどうかという問題だが、このことは前記と同様に協会の第2部会(コベナンツの付与及び情報開示等)・第3部会(社債管理のあり方等)において在るべき姿が議論されている。

・その社債の信用リスクはどうなのか=信用リスクを個人が判断するツールとして格付けは分かり易い。しかし、以前から格付けについては格下げ時(つまり信用リスク増大→価格下落)の遅行性が問題になっていた。企業の信用リスクの変化を個人レベルで判断することが出来ないので、この問題は民間企業である格付機関に頼るしかないが、金商法の改正により格付機関も信用格付業者として登録制へ移行し、また格付けの定期的ウォッチやその公表を求められている。また個別企業の信用リスクのデリバティブとしてCDSがあるが、こちらの方の価格情報は東京金融取引所が取引業者からの報告もとに参考値を公表している。この活用が日本でも拡がっていくことに期待している。

【供給の壁】
現在、社債の供給に関しては発行市場に偏っていて、個人に提供する金融機関も限られている。つまり供給サイドの壁が有る。もし、将来日本の個人資産の1割でも社債で運用されるようになれば、米国並みに個人が社債を保有(米国は直接保有14%、社債ファンドでの保有11%)することが期待されるが、その為には、個人投資家が望む運用期間の社債を、望む時に、望む量だけ提供できることが必要で、その為にも社債の流通市場の整備が待たれる。
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