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2017/10
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上場会社には、何故社外取締役が必要なのか
投資家にとって、上場企業のコーポレート・ガバナンス強化は、ディスクロージャーの徹底とともに最低限求めたいことだ。安心して投資する為には、会社から発信される情報に信頼性があり、かつ株主としての権利が守られている。そう信じなければ投資のリスクは取ることが出来ない。希薄化を招く大規模な第三者割当や公募増資、MBO、合併や企業統合。それ自体は、企業が生き残りをかけて取る戦略の為に必要なことで、結果としては企業価値を高める目的で行われる。しかし、支配権を持たない一般の株主(少数株主)にとって、一時的であっても株価下落に晒されるリスクや、上場廃止で半ば強制的に株主としての退場を求められることもあり、その際に上場企業側や支配株主(親会社や大株主など、実質的に会社を支配しているもの)とは、利益相反することになる。この普通の株主としての立場を誰が守るか。その仕組みが、明確に市場に向かって示されていなければ、上場会社としては成り立たない。

 上場会社の意思決定機関である取締役会や、監査機能をもつ監査役会において、外部(社外)のチェックをどう入れるか。東証は、独立性の高い社外取締役や社外監査役を独立役員と定義して、上場会社に対してその導入を昨年4月以降、求めている。一方、法制審議会による会社法見直しでは、社外取締役の機能について、次のように整理されている。

① 経営効率の向上のための助言を行う機能(助言機能)
② 経営全般の監督機能
(a) 取締役会における重要事項の決定に関して議決権を行使することなどを通じて経営全般を監督する機能
(b) 経営全般の評価に基づき,取締役会における経営者の選定・解職の決定に関して議決権を行使することなどを通じて経営者を監督する機能(経営評価機能)
③ 利益相反の監督機能
(a) 会社と経営者との間の利益相反を監督する機能
(b) 会社と経営者以外の利害関係者との間の利益相反を監督する機能

 この社外取締役について、東証上場会社2294社の48.7%(2010年)が導入していて若干の増加傾向にあるものの、半数以上が導入を見送っている。その主な理由は次のようなものだ。

【社外取締役を選任しない理由】
・社外監査役を中心とした監査役(会)や取締役相互の牽制が働いている
・執行役員制度の導入による監督と執行の分離をおこなっている
・アドバイザリー・ボード等による助言機能が十分に機能している
・取締役の任期を1年に短縮したことで株主によるチェックが機能する考え方
・任期が4年である監査役のほうが短期的視点に左右されない大局的な観点からの助言・問題提起が有効
など
一方、社外取締役を導入している企業についてその属性が次の様になっている。
・他の会社の出身者---68.1%
・弁護士---11.1%
・学者---8.4%
・公認会計士・税理士---8.4%

問題となるのは、他の会社の出身者だが、この内の3分の1以上が親会社や関係会社若しくは大株主となっており、少数株主の為に利益相反などのチェックが出来る立場にあるかどうかだ。この部分に関して東証が求めたのは、企業からの独立性の保てる社外取締役だが、同様の独立性の社外監査役でも良い(両方を総称して独立役員)としたことで、企業の最高意思決定機関である取締役会に外部の目が入るべきという本来の社外取締役制度の目的が薄れているようにも思われる。上場ルールで、企業の在り方を縛ろうとすることに限界があるのかも知れないが、現在法制審議会では社外という言葉の定義や、社外取締役を義務付けるかどうかの議論が行われている。日本企業の復興の為には、上場企業のコーポレート・ガバナンス強化の取組みも、国内外の投資家や株主から期待されることである。

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