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2017/11
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ライブドア事件が市場に残したもの
 ライブドア(現LDH)の粉飾決算事件で、最高裁は25日付、被告側の上告を棄却する決定し被告の実刑が確定したことが伝えられている。容疑の対象となるのは、
●2004年9月期の連結決算で、自社株売却益や架空利益を違法に計上し、約3億円の経常赤字を約50億円の黒字に粉飾した有価証券報告書を提出した件
●子会社のライブドアマーケティング買収をめぐり、株式交換比率算定に関する偽計及び架空売上計上に関する風説の流布の疑いの件
以上の虚偽情報を公表したとして、東京地検特捜部が2006年1月に関係者を逮捕・起訴したものだ。事件としての内容は、ウィキペディアに“ライブドア事件”として詳細に記載されているので、事件内容や経緯にご興味のある方はそちらをご覧いただきたいが、同事件が日本の資本市場に残した問題は、起訴事実以上に大きなものがあった。その事について触れたい。

よく市場関係者の間では、ライブドア事件は、日本の新興市場に大きな影響を与えたと言われる。確かに、事件後、新興市場の時価総額や新規上場数(IPO)など減少したが、それだけではない。4月29日の日経・大機小機でも触れられているが、当時の日本の資本市場の歪みや規則の隙間を狙って、本質的なルールを犯していたこと、また当時の業界などの環境がそれを許すものだったことも見逃してはならない。

 本質的なルールとは、市場での取引参加者を守ることで、それは金融商品取引法(当時の証券取引法)において、インサイダー取引・相場操縦・不実表示など不正行為の禁止として定められている。つまり、市場規律と投資家を守ることが第一義なのだが、ライブドアが市場に残した以下の行為の跡は、これらに反するものだった。

●フジテレビと争ったニッポン放送株式の取得に関する問題=企業の支配権に影響を及ぼす株式の取得は、TOBに依らなければならないが、5%以上取得する場合も市場以外から買い付ける時はTOBの対象となる。ライブドアは、割高に買わなければならないTOBを避ける為、当時は市場取引扱いされていた立会外取引で大量の株式を取得。この行為は、そもそものTOBルールの趣旨に反するとされ、その後買付ルールは厳格化された。

●度重なる大量株式分割の問題=当時は会社法の改正で、株式の額面がなくなったり、単元株制度で1株1単元が可能となっており、また東証も一般の上場企業には投資単位の引き下げ要請を行っていた。これを悪用したと言われる株式の100分割などは、目的は株主数の大幅増加を表明しているが、実態は新株の割当日と実際の株券の発行(当時は、ペーパレス化はされていないので現物の株券)の時差を狙って、一時的に極端な株式不足になることを利用した株価操縦的行為として問題になった。本来は株価には直接影響ないはずの分割が、新興企業においては、一時的株価上昇材料として持て囃される状況にもなっていた。

●大量の買収資金を調達するためのMSCB(転換価格の下方修正条項付き転換社債)の発行=元々は再生企業のファイナンス手法として利用されたMSCBだが、新興企業のM&A資金調達に大量に利用したことが間違いだった。間違いの原因の一つはこのMSCBの仕組みだが、転換価格を頻繁に見直し、その時の時価の90%近くまで引き下げる。このMSCBを証券会社などに割り当てるが、これを引き受けた証券会社等は、市場で現物株を売却し転換価格を引き下げるというインセンティブが働く。この間、企業価値が上がる材料が出れば良いが、ただ企業を買うだけでは企業価値は上がらない。つまり、このMSCBによる株価下落圧力と企業価値上昇への取組みのシナリオが描けない中で、大量のファイナンスを行ったことが問題だ。

 以上の3点は、実はライブドアだけの問題ではない。1点目は村上ファンドなどに限られるが、後の2点は、相当数の新興企業が模倣した。また、実際の実行者は新興企業だとしても、売買やファインンスを受け入れた市場や業界側にも問題があったことも、ライブドア事件とともに風化させてはならない。日本の資本市場のプリンシプルを守る責任は、市場と直接の市場参加者にある。
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