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2017/09
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日本の株式市場を分断化させない為に
東証によると4月の株式取引では金額ベースで67.4%が海外投資家ということだ。この統計は、東証・大証・名証で直接売買注文の発注を行う資本金30億円以上の証券会社58社からの報告を集計したものだが、海外投資家の売買シェアが7割近い状況は、5月に入っても続いているようだ。海外から日本の株式市場が注目され、売買量が増加するのは日本の資本市場にとって好ましいことだが、海外投資家は日本株取引を日本の取引所だけで売買している訳ではない。海外のPTS(私設取引所)やダークプールと言われる海外証券会社内の取引システムで、日本株が取引きされることもあれば、海外証券会社等と相対で売買する海外ファンドなども多く、実際の海外投資家の日本株取引量は、取引所に報告されているものの数倍に達すると推測される。また、日本株を海外の金融機関に預託し、その持分を細部化して現地通貨で売買可能とする預託証券(DR=Depositary Receipt)方式の日本株売買も、海外の個人投資家中心に利用されていて、米国ニューヨーク取引所やナスダックでも取引されている日本株のADR取引がその代表的なものだ。海外投資家による日本株の取引が増加すれば、これら海外での日本株売買も当然増えていくが、そのことによって日本の株式市場が分断されるリスクを感じる。

つまり、日本の取引所で取引されるトヨタ株、米国のADRで取引されるトヨタ株、欧州において相対で取引されるトヨタ株、それぞれは同じトヨタの株式であることは当然だが、それぞれの取引情報が投資家間で共有されなければ、トヨタ株全体の取引の状況を把握することが出来ない。もし、海外でのトヨタ株の取引がマザーマーケットの日本市場より多く、その情報を日本の取引参加者が知らなければ、日本の取引インフラのみを利用する投資家には不利益が生じる可能性もある。

また、18日からシンガポール取引所では、トヨタなど日本株5銘柄のADR取引が開始されたが、最近では個人投資家が利用できる海外証券取引所へのアクセスも良くなっていることもあり、益々日本市場の空洞化への懸念が生じる。

 冒頭の東証統計によると、個人投資家の日本株売買シェアは21%、投信などの国内機関投資家のシェアが9.7%で合わせても日本の投資家取引は3割を占めるに過ぎない。これだけ自国内の投資家の売買シェアが低いのは一部の新興国しかないが、先進国でしかも世界2位の資本主義国なのに海外投資家の売買高が過半数以上を長い間占めるというのは、国内取引に何らかの構造的欠陥があるのではないだろうか。
例えば、個人投資家の6割弱を占める信用取引は仮需要を創出する重要な仕組みだが、機関投資家や海外投資家は、この仕組みを使わないで別途海外証券会社などからファンディングや貸し株などのサービスを受ける。最早、信用取引だけ見ていたら、日本の株式市場での仮需要全体を把握することが出来ない。

日本の投資家に対して、日本市場のみならず海外での貸株も含めた日本株取引に関する情報を、適時的確に伝えることで、日本株取引の全体像を投資家自らが把握しやすいように努める事こそ、日本の株式市場を分断させないために必要な事ではないだろうか。


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