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2017/10
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投資信託の課題とリテール証券会社
 最近の証券会社の収益は、投資信託(以下投信)によって支えられている部分が多い。グループ化して、参加の投信の運用会社を持つところは、その収益がグループ全体に寄与する部分が大きくなっているし、本体の証券会社の純営業収益でも、投信の販売手数料と残高に対する報酬部分は全体の4割(主要リテール証券会社20社平成22年度)を占めるまでになっている。投信自体も、大震災後の直近2ヵ月こそ資金が流出しているものの、その成長は続いていて、証券業界の収益の柱となっている。

 一方、投信そのもの有り様はどうかというと、来月で日本において60年を迎える投信について、日本証券経済研究所杉田氏によるレポート(発足から満60周年を迎える日本の投資信託~その軌跡・現状と今後の課題~)が先週公表されていて、業界の人間として時に懐かしくもあり、また考えさせられる内容でもあった。
先ず、投信の実態として改めて認識させられたのは、失われた20年の影響である。同レポートによると、日本の投信の世帯普及率は、1988年の16.7%をピークに2009年の7.9%と半減しているのに、米国はその間に倍増し2010年では43.9%の世帯が投信を保有するようになった。この間、米国株式市場が堅調だったこともあるが、401Kなどの退職準備貯蓄制度整備による影響が大きく影響している。日本のリテール証券会社の収益を支える投信は、まだまだ拡大していく余地が大きいのだが、杉田氏は、今後の投信の課題として以下の点をあげている。
①運用パフォーマンスを更にレベルアップするため、グローバル投資の推進とともに機関投資家として日本企業の株式価値の向上に貢献すること
②投資家利回り向上のために積立て投資を促進すること
③確定拠出年金の拡充を推進し、その市場で地位を確立すること
④投資家の商品理解を徹底するとともに分かり易い商品へ脱皮すること
⑤新商品開発だけではなく既存商品の育成に注力すること

 筆者も全く同感に思うが、このことと投信を収益の柱にする販売者の証券会社の立場から見てみると、次の様なことも感じる。
・投信の販売者として、証券会社は運用者を選ぶことは出来るが、全ての投信を扱うことが出来ないので、投資家に提供しようとする投信が限られる場合がある。
・対面リテール証券では、収益予算があるため、営業イベントとしてある投信に集中して販売活動を行いがち。
・結果として、ある投信を他の投信と比べて販売するという事は余りなされず、特定の運用会社の主張する運用方針に対して、投資家の賛同を得ようとするスタイルの販売活動が中心となる。
・一方、ネットでの取引で投信を販売することについて、昨年の7月から投信目論見書の簡素化が実質的に始まっているものの、その内容について、一般の投資家が充分に理解できると多くのリテール証券は考えていない。また、ネットでの投信販売では、投信間の商品比較が必要だが、現時点ではその様な仕組みは整備されていない。

 つまり、投信を米国並みに個人投資家に浸透させて行く為には、ネットでも対面でも今のリテール証券で行っている投信の販売方法とは異なる取組みが求められるのではないかと思われる。その為に、日本ではまだ試行的に行われている確定拠出年金制度(日本版401K)や、今後導入が予定される日本版ISA(少額投資非課税口座)、ファイナンシャル・アドバイザーなどの投資助言業務などに対応していくことが、リテール証券にとって必要な変化になると考える。

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