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2017/11
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アルゴリズム取引への期待と不安について
標題について易しく考えると、アルゴリズム取引に対する期待は、市場での取引量が増し、各銘柄の流動性が向上すること。不安の方は、アルゴリズムの価格形成に対する影響が良く分からないと思うこと。前者の期待は、主に取引システムを高速化した取引所や大量の株式売買を行う海外・機関投資家などで、後者の方は、アルゴリズム取引を行わない市場参加者及び世間一般ということになるだろう。
そもそも、アルゴリズム取引とは何かという事から考えるのに、先ず次の二つを上げたい。

【その定義】(野村証券による)
アルゴリズム取引とは、コンピューターシステムが株価や出来高などに応じて、自動的に株式売買注文のタイミングや数量を決めて注文を繰り返す取引のこと。具体的には、自らの取引によって株価が乱高下しないように売買注文を分散したり、また株価が割安と判断したタイミングで自動的に買い注文を出したりする。利用については、投資家が発注時に証券会社が提供する複数の執行ストラテジー(アルゴリズム)から、自分に合うものを選択する方法が一般的である。

【個人投資家による事件】
 今年1月25日、証券取引等監視委員会はアルゴリズム取引を逆手にとって相場操縦を行ったとして、個人投資家を摘発した。摘発の対象となる取引は平成22年6月14、15日の北越紀州製紙株の売買において、取引を誘引する目的で約定させる意思のない発注を繰り返し、自己に有利な売買をしたとされている。
※詳細は、→北越紀州製紙株式に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 次にアルゴリズム取引は、コンピューターが取引を自動的に執行する所謂システム取引の一種だが、システム取引≒アルゴリズム取引ではないのは、その取引の目的が売買執行コストを下げるということに限定される為だ。つまり大量の株式の売買を執行しようとする時、
・価格が大きく変動してしますリスク
・同じ様な価格で取引しようとした時に時間がかかってしまうリスク
・取引しようとした時、その価格で希望する取引量が出来ないリスク
・取引そのものが執行されないリスク(発注先に情報だけ流れてしまう)
などがあって、取引を希望していた価格から実際の取引された価格が乖離してしまう事を売買執行コストと言うが、アルゴリズム取引はこのコストを下げる為の仕組みとして利用されている。結果、大量の売買注文を執行する為に必要な取引手法として、欧米では定着しているし、日本でも機関投資家の利用が進んでいる。(2009年の野村総研の調査では、運用会社の半数が週一回以上利用)

その基本的な枠組みは、
●市場に影響するニュースや経済・金融統計の情報を取り込んで、売買タイミングを探る。
●市場の取引テータ(売買情報・注文情報)を取り込んで、売買タイミングを探る。
●上記の情報をシステム上で解析し、決められたストーリー(アルゴリズム)によって、自動的に注文の受発注、更には注文の取消しを行う。このアルゴリズムの中には、情報を解析することで他のアルゴリズム取引を感知して、注文を受発注するものもある。
このアルゴリズムを優位に稼働させようと思えば、人より早く情報を集約し分析して発注を行うという事は分かり易い戦略だが、その為には取引所の高速化・取引参加者の高速化競争が激化している。

一方、アルゴリズム取引に参加しない市場参加者は、急激が取引の増加や価格変動において、何処位この取引の影響があるか分からないので、アルゴリズム取引に対する不安と不満があるようだ。その為、昨年5月の米国のフラッシュ・クラシュの様に、急激な価格変動の犯人扱いという事態(実際は異なる)になりがちだ。但し、良く考えてみるとアルゴリズム取引の主な目的は、価格変動を避けることにもあるので、ロジカルな説明とは言えないし、幾分アルゴリズム取引の実態が分からない事への不満に思える。この状況は、せっかく高速化・グローバル対応している日本の市場にとっても好ましい状況ではないので、取引所はアルゴリズム取引に関する情報公表の徹底を行い、アルゴリズム取引の透明性を高めることで改善を図って欲しい。
 
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(非公開コメント受付中)

No title
アルゴリズム取引は極めて一般化しているのに、そもそも株式取引の現状に対する理解は実務者以外にはあまり知られていないことをおっしゃられていますね。
取引所は、発注者から注文電文を受け取っているだけなので、裏側のアルゴリズムのストラテジーまではわからないと思いますが、ここでの情報公開とは教育活動のことを指しているのでしょうか。

このような本が日本語に翻訳されればいいのでしょうかね。野村総研あたりから。
http://www.amazon.com/Algorithmic-Trading-DMA-introduction-strategies/dp/0956399207/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1306362301&sr=8-1
http://www.amazon.com/Electronic-Exchanges-Transformation-Elsevier-Financial/dp/0123742528/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1306362680&sr=8-1
Re: No title
お読みいただき、ありがとうございます。
記事の目的は、個人投資家などのアルゴリズム取引に対する漠然とした不安や誤解をとるために、
・そもそも基本的な仕組みと戦略への理解→市場仲介する証券会社(ネット専業も含む)などが行うべき
・アルゴリズム取引の状況の公表=たとえば日立1000万株の出来高に対するアルゴリズム取引の割合→こちらが取引所の情報公開
が必要だと言いたかったのですが。
またおっしゃるように、アルゴリズム取引に関する文献は、野村総研・日銀などに頼るのが日本の業界の実情です。

> アルゴリズム取引は極めて一般化しているのに、そもそも株式取引の現状に対する理解は実務者以外にはあまり知られていないことをおっしゃられていますね。
> 取引所は、発注者から注文電文を受け取っているだけなので、裏側のアルゴリズムのストラテジーまではわからないと思いますが、ここでの情報公開とは教育活動のことを指しているのでしょうか。
>
> このような本が日本語に翻訳されればいいのでしょうかね。野村総研あたりから。
> http://www.amazon.com/Algorithmic-Trading-DMA-introduction-strategies/dp/0956399207/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1306362301&sr=8-1
> http://www.amazon.com/Electronic-Exchanges-Transformation-Elsevier-Financial/dp/0123742528/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1306362680&sr=8-1
No title
興味深いお話をありがとうございます。
同じ証券会社でも執行コストを下げようと努力するどころか、
稚拙なシステムの自動執行で顧客資産に大穴をあけてしまった例です。
顧客資産の保護を重要なことと考えれば、こうはならないはずです。
専門家の立場からご意見などいただけると幸いです。
http://opuopu.blog.ocn.ne.jp/
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