*All archives* |  *Admin*

2017/10
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
デリバティブは難しい商品なのか?中小企業への販売の場合
 5月末に金融庁のホームページ上で公表された中小企業向けパンフレット“デリバティブ商品の契約をするときのポイント”には以下の様にデリバティブの定義について平易な文章で説明されている。

○デリバティブ商品とは、為替相場や金利などの将来の変動リスクを管理するために、外貨や金利等を一定の価格等で取引する権利や義務を、あらかじめ契約しておく商品です。
○為替相場や金利の変動などにより、お客さまに損失が生じることがあります。
○原則解約できない商品です。お客さまのご都合などで中途解約する際に解約清算金が必要になることがあります。

 中小企業の円高倒産リスクなどで昨年から問題となっているデリバティブ商品に対して、中小企業の注意を促すものだが、デリバティブ商品の説明は以上の3点に尽きる。詳しい条件等はデリバティブ契約書に記載されることなので、基本的にはよくその中身を確認して下さいということになるが、販売者である銀行は、次の事項について説明しなければならない。

・最悪のシナリオを想定した損失額や、想定シナリオが異なる場合の損失拡大の可能性など、商品内容やリスクに関する十分な説明
・原則解約出来ない事や、解約の際に解約清算金が発生することとその内容に関する十分な説明
・企業のリスク管理の為に購入した場合、売上げや取引量に見合っているかの確認とその十分な説明
つまり、販売する銀行はデリバティブ契約書の内容を相手の中小企業に合わせて十分に説明する必要がある。また、次の行為は禁止される。

①虚偽のことを告げる行為
②不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあることを告げて勧誘する行為
③銀行やグループ会社と取引を行うことを条件として、融資する行為
④銀行としての取引上の優越的地位を不当に利用して、取引の条件または実施について不利益を与える行為

①と②は普通の商行為では、当たり前に禁止されている行為なので、問題となるのは③や④の銀行の優先的地位の利用がデリバティブ商品販売時には禁止されていることを、中小企業側が理解しているかどうかだろう。この事を証明するのは難しい。

 次にデリバティブ商品の契約後、銀行は時価情報などのフォローアップや苦情や相談に対してきめ細かく対応していて、相談しても不利益を被らないとしている。これは、銀行ではなく金融庁のパンフレットなのだが、それ程この問題での銀行サイドの対応が難しいということだろうか。

以上の背景には、下記の様な中小企業向け為替デリバティブ取引状況(米ドル/円)に関する金融庁の調査(昨年9月末時点での銀行に対する聞き取り調査、公表は本年1月)がある。
・販売契約数をみると、平成16~19年度までは毎年度約12,000件前後で推移し、合計では約6万強の契約が販売されていた。
・平成22年9月末現在で契約を保有する企業数は、約1万9千社である。
・リーマンショック以降の急激が円高で、大きな損失を被った契約が多いとされるが、平成22年1月以降に銀行へ寄せられた苦情件数は約300件、金融庁へは195件、銀行協会へは200件以上となっている。
・昨年9月時点で残存する契約数は約2.5万件、1契約当たりの損失額は600万円となっている。

 これらの事で、真に難しいことはデリバティブの契約内容ではなく、銀行が優先的地位を利用しないで金融商品を取引先企業に売るということかも知れない。
 
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード