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2017/10
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“被災地応援ファンド”に見る事業ファンドの可能性と限界
 “みんなからお金を集め、○○の事業に投資を行う”という非常に広範囲で曖昧なファンドの定義の中には、国家が外貨準備などの運用を行うSWF(Sovereign Wealth Fund)から、町のラーメン屋さんに投資する事業ファンドまで様々なものがあるが、被災地企業の事業再開を支援する“被災地応援ファンド”を見ていて、改めてこの事業ファンドの役割を考えさせられる。証券や金融機関が扱うファンドは投信も含めて何らかの市場に関連するものが殆どだが、この事業ファンドは市場には殆ど関係しない。勿論、ファンドである以上は、投資を行う事業の成功を出資者たちが願うのだが、市場を相手としない以上、投資効率とか収益性がファンド出資者たちの第一の目的ではなく、○○の事業を応援するということに主題がありそうだ。それも限られた資金で行うマイクロファイナンス的ファンドが、事業ファンドの特性の様に思える。冒頭に上げたファンドの定義の中の“みんな”とは、○○事業に賛同した人達となり、この人たちを投資家と呼んでいいか、幾分の疑義が残る。
 例えば、“被災地応援ファンド”は、被災地の海産物店など8社の当面の運用資金を調達するものだが、1口一万円の半分は寄付、半分が出資となるもので、出資分については7~10年の契約期間で途中解約は出来ない。このファンドは、被災地企業支援というところに重点が置かれている。 また、当該ファンドを実質的に運営するミュージックセキュリティーズは、元々音楽ファンドでヒップホップ系の新人歌手を売り出すプロジェクトを行っているが、こちらの方はCDの売上げなどに応じてファンドの分配金が出資者に払い戻される。

 ただし、これらの事業ファンドを取り扱う者は金融商品取引法上で第二種金融取引業となり、地元財務局に登録する必要がある。2007年に金融商品取引法で投資信託以外のファンドを集団投資スキームとして定義し、この中に事業ファンドも含まれることになったが、このファンドの対象や定義が広範囲に及び様々なファンド勧誘行為が行われたので、金融庁や財務局には次の様な相談が寄せられている。
(注:事業ファンドを特定したものではない)

【相談事例】
*元本保証、高利回りとしてファンドに出資したが、返金に応じてもらえない。
*認知症の人に売っている。
*金融庁の認可を受けているがファンドに出資しないかと勧誘された。
*FX取引(外国為替証拠金取引)を使ったファンド。実際は運用せず自転車操業。
*被害者を増やしたくない。
*パンフレットには書けないが元本保証を口頭で約束すると勧誘された。
*母が未公開株の投資事業組合に投資したが5年間は解約できないといわれた。
*紹介者にもメリットがあり出資者も損はしないので乗らないかと誘われた。

 この為、証券取引等監視委員会は2009年以降ファンド業者=第二種金融商品取引業者に対して集中的に検査を行い、次の様な問題ある行為を指摘している。
●ファンドへの出資金の分別管理が不適切な状況(出資金の流用、使途不明等)
●顧客に対する虚偽の説明・告知や誤解を生ぜしめる表示等
●無登録業者に対する名義貸し等
●ファンド販売業者自らが登録業務を逸脱している状況等
●自己の利益を図るためファンド出資者の利益を害する運用を行う行為

 以上のことと、マイクロファイナンス的に出資目的を限定して賛同者を募る事業ファンドは、余り重なる部分がないようにも思われるが、行政上は同じ第二種金融商品取引業であることも事実だ。マイクロファイナンスもそうだが、事業ファンドも今までの金融の概念と異なるところにビジネスモデルがある。その事は、金融やファンイアンスの新しい機能へと繋がるだろうが、今までの投資家保護とは違う概念が規制(自主規制も含めて)には必要になるのではないだろうか。
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