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2017/08
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平成23年度金融商品取引法改正その1=利用が期待されるライツ・イシュー
もう大震災から三ヵ月が経過するが、その間に市場は復興需要に対する期待と電力・原子力発電所問題に対する不安の間で揺れ動いている。改めて政策やそれを決定する政治の重要さを実感している市場参加者が多いと思われるが、その間にも今年度の金融商品取引法改正案が国会では5月17日に成立している。この改正案は、概ね半年から1年以内に施行されるが、このうちライツ・イシュー=ライツ・オファリングに関係した部分について、その目的に沿ってやさしく考えてみたい。

【ライツ・オファリング(新株予約権無償割当てによる増資)に係る制度整備】
これは企業の大規模なファイナンスを実施しやすくするものだが、結果的には既存株主にメリットが大きい。現在の様な株価水準ではどうかと思うが、今後の震災需要を睨んで企業のファイナンス需要は増えると思われる。また、3月期決算会社の株主総会が終了する7月は毎年の様にファイナンスラッシュとなる。その為、日本の株式市場は夏場にかけ需給関係が悪化している。勿論、企業にリスクマネーを供給するのは資本市場の大切な機能だが、大規模なファイナンスでは、それが公募増資であろうが第三者割当であろうが既存株主の持分が希薄化し、株価下落という洗礼を受けさせられる。時としてこのファイナンスが株式の売り材料化して、昨年は欧米の投資家からも問題点を指摘されていた。
この問題への対応策として欧米では一般的なファイナンス手法であるライツ・オファリングが期待されている。その仕組みは、株主に対して無償で新株予約権を割り当て、増資に応じる株主は新株への払込を行うが、株主は増資に応じなくも、割り当てられた新株予約権を市場で売却することで、株価下落の経済的不利益の一部を補うことも可能となる。昨年の3月にタカラレーベンが実施したものが日本での第一号とされるが、次の様な技術的障害も指摘されていた。

A:株主にライツ=新株予約権を無償で割り当てても、その全員に目論見書を配布しなければならないので、企業側のコスト負担が増加することと、目論見書の内容を周知する為の不作為期間が法的に必要な為、ライツを行使するまでに日時が多くかかる。
B:ライツの一部が行使されず、企業が必要とする資金が集まるかどうか確定できない場合も想定される。そのリスクを避ける為に、行使されなかったライツを一旦企業が取得し、その分を証券会社が引受けて売出す方法もある。しかし、これを引き受ける証券会社サイドの実務的対応などが不明とする考えが業界内にあった。
〈証券会社が不明とした点〉
・引き受けるライツの量が多い場合、大量保有報告やTOB規制など発行済(新株予約権を含む)の5%以上の保有を規制するルールに抵触するのかどうか

これらに対して、改正案では次のような措置が可能となる。
○株主全員に対して目論見書を作成して交付する義務を、不要とする。通常、投資家に配布する目論見書は、その内容の大部分は有価証券届出書がベースとなって作成されるが、このライツ・オファリングに関しては、この有価証券届出書が金融庁に開示システムであるEDINETで閲覧できることを日刊紙に広告すれば、目論見書の作成・交付は不要とされる。その為、ライツの行使開始期間を7日程度前倒しすることも可能となるし、株主が数万人以上いる企業にとって億単位の費用が想定される目論見書コストを節約できる。

○投資家が行使しなかったライツを、証券会社が一旦企業から買い取って売り出す行使を引受行為と定義することで、5%ルールに証券会社が抵触することが避けられる。ただし、当該証券会社は通常の引受行為と同様に引受審査が義務付けられる。

これらの技術的な改正が、今でも出来るライツ・オファリングの増加に繋がるかどうか、一般の投資家や株主には分かり難いことだろう。しかしそれは、ファイナンスを提案する立場・ライツの売買を説明する立場・ライツの行使を説明する立場・新株について販売し直す立場・企業への投資判断を助言する立場、それぞれの局面で証券会社が市場仲介者として努めることにかかっている。

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