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2017/06
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ファイナンスの季節を迎えるにあたり
もうすぐ6月も終わると、公募増資などファイナンスの集中しやすい7月を迎える。これは、3月期決算会社の株主総会が終わり、新年度の資本政策を実行しやすくなる時期ということだが、引き受ける証券会社の方でも、前期決算が確定後その内容を確認する引受審査を2ヵ月程度は実施する必要があるので、7月は新年度でのファイナンス公表が集中しやすい。

 このファイナンス機能は、上場会社が市場からリスクマネーを調達する重要な機能だが、株主にとっては多少の痛み(時としては大きな痛み)を伴うのが最近の日本市場の特徴になっている。まだ日本全体が成長期にあったバブル期以前なら、企業の積極的な事業戦略を支える公募増資など資金調達手段は、それ自体が市場から好材料視されたが、今は殆どその様な事もなくなった。一旦の売り材料若しくは空売り材料というのが、今の一般の日本企業ファイナンスに対する投資家の評価だろう。

 少し最近のファイナンス(公募増資+第三者割当)の状況を見てみると、以下の様になっている。
【金融危機後の公募増資の状況】
・2009年度:55社 5兆7296億円 (1社平均:1041億円)
・2010年度:49社 2兆7756億円 (1社平均:566億円)
※日本証券業協会資料より

ちなみに、過去最高額は東証要覧によるとバブル期の1989年227社5兆8302億円(1社平均:256億円)となっている。しかし、この時は株価平均が現在の4倍であること、1社平均の調達額が最近の半額から4分の1程度だったことを考えれば、今の株主が負う希薄化や株価下落リスクの数分の1程度だった。

今回の金融危機以降、日本の発行市場では大型の公募増資が増え、企業が戦略的に変わろうとする時に必要とするリスクマネーを、大量に一部大企業に供給している。これ自体は日本の資本市場にとって重要なことで、その機能を果たしていると言える。しかし、それを受けるとめる流通市場の方が数分の一に縮小していて、結局既存株主の犠牲の上に増資するケースも見られるし、大型の公募増資なので、一時的には同業他社の株価にも影響を与える。
だから公募増資するという情報に対して、今だと殆どの投資家が売り材料として扱う様になっている。昨年夏、欧州の機関投資家が問題としたのは、この公募増資の情報が企業の公表前に流れる様な日本のファイナンスの仕組みに、問題があるということだった。

誤解無き様に言いたいが、大量に公募増資する企業が問題だとか、公募の情報を聞いて空売りする投資家が問題という訳ではない。企業が生き残りを掛けたファイナンスであれば市場は其れに応えるべきだし、公募増資を空売り材料とする投資判断は、投資家自身のもので市場はこのニーズにも機能を提供するべきだ。問題なのは、発行規模のニーズと流通市場の機能のバランスの悪さで、流通市場のキャパシティを超えて公募株の流通を試みたり、空売りの為に公募増資の材料を探したりすることで、この責任は企業や投資家にあるのではなく、大きな意味の市場運営(発行市場と流通市場及びそのリンク)の問題だと考える。

では、具体的にどの様な対応が可能かは次回以降に。
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