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2017/10
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空売りはいけない行為なのか
 株式を保有しないで売却する“空売り”は、するべきではない行為なのか。もし、“空売り”がするべき行為でないとすると、買い付ける資金もないのに行う“空買い”は問題ある行為なのか。どちらも、仮需用を創出し、市場に流動性を与えるが、ルールは如何にあるのか。

 結論は、金融商品取引法第162条第一項には、有価証券を有しない場合や借り入れて売り行為を“空売り”として、この行為を禁止しているが、内閣府令(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令)ではこの条項を適用しない取引を定めてあって、結果的には普通の投資家が利用できるようなものは、殆どこの禁止規定を適用しない。つまり、空売りは原則禁止なのだが、市場の流動性向上に為に必要だと思われる範囲で行うことが可能となっているという、普通の投資家には解り難い論理構成となっている。
 空売り禁止の適用除外となるのは、信用取引や貸借取引、有価証券先物取引や債券関係取引など内閣府令第九条の3には、全部で36項目も定められている。
 一方、“空買い”に関する規制は何もなく、空買いを実行する投資家は、証券会社か銀行が購入相当資金を貸してくれる範囲で買い付けることが可能だ。

しかし、“空売り”にしろ“空買い”にしろ、“空”の部分は株式か資金を誰かから借りてきて、決済日には株式と資金の受け渡しを実行しなければならない。この“空”取引に関する法規制も、分かり易く言い切ってしまえば、ちゃんと受渡し決済できるなら、市場の取引が増加したり、流動性が向上するはずなので、行ってよいという事になる。ここまで読んでいた方々には、“空売り”の言葉遊びの様な説明で申し訳なく思うが、問題としたい“空売り”は次の様な場合だ。

①発行済み株式総数の2~3割以上となる大規模な公募増資を公表前に知り、対象となる企業の株式を空売りする。
②同様に大規模な公表後に知り、対象となる企業の株式を空売りする。

どちらも同じ空売りだが、①は当然公募増資という重要事実を事前に知って行うインサイダー取引になるので犯罪行為だが、②は決済できる方法で行うなら、適用除外で認められた“空売り”ということになる。

 しかし、日経によると金融庁は②の方の一部決済方法について規制を今秋から導入する方針だという。その規制内容は、公募増資公表後に空売りした投資家に公募株を与えてはいけないというルールだ。正直に書きたいが、このルールの目的が良く分からない。
若し、②の空売りそのものが問題なら、これを禁止すべきだが、この行為はOKで、但し空売りした投資家には公募株を割り当ててはならないという。②で空売りした投資家は買い戻す以外にないということを言いたいのかも知れないが、逆に公募を割り当てない理由は何なのだろうか。②の行為が正当な取引行為とした場合、その理由が見当たらない。

 唯一、理由として想定できることは、企業の公募増資の値段を引き下げる圧力を少しでも取り除きたいということかも知れないが、増資の規模や目的で売りも買うのも投資判断なので、認められた空売りの方法を一時的に停止することは、むしろ市場取引ルールの一貫性から問題だ。本当に問題なのは、投資家や株主に評価されないような公募増資を行う企業側かも知れない。これらは、市場取引の中で判断されるべきではないだろうか。

 昨年夏以降、欧米の機関投資家が問題としたのは、むしろ①に対する疑義で、その背景となったのは大規模なファイナンスを行う際に、欧米の一部投資家にその株の需要を公募増資公表前にヒアリングする引受慣行(ソフトヒアリング)の方で、こちらの方を証券検査等で厳格に行うべきことが市場を守るということだろう。

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