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2017/06
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IFRS導入議論にみる震災後日本の縮図
6月下旬に、日本の資本市場にとって非常に重要な議論が2つの審議会で始まっている。一つは、日本の金融業の中長期的な成長戦略を議論するワーキング・グループのスタート。もう一つは、2012年に導入(強制適用)するかどうか判断するとしていたIFRS(国際会計基準)の導入判断に関する検討を行う企業会計審議会での議論のスタート。どちらも日本市場に大きな影響を与えることが予想されるが、ここではIFRS導入に関する関係者の主張について、その発言意図を考えながら、簡単に見てみたい。
(以下、企業会計審議会資料の導入議論に関する部分を筆者が要約)

【金融担当大臣】
IFRSは、2010年3月期から任意適用が始まっているが、最近の米国の動向や大震災の影響などを考えると、仮に2012年に強制適用を決めるとしても、準備期間は今まで予定していた3年間ではなく、5~7年間の十分な設定準備期間を設ける。

【米国の動向】
・IFRSと米国会計基準の定める機構同士で共通化(コンバージェンス)の作業を行っていたが、ことし4月に、共通化を6月まで完了するとしていた“金融商品会計”“収益認識”“リース”について年末まで共通化作業期限を延長している。
・米SECは、5月にIFRSを米国基準に5~7年かけて取り込んでいくという考え方を示したスタッフペーバー(SECの正式決定ではない)を公表している。

【産業界要望】(5月25日)
・上場企業の連結財務諸表へのIFRSの適用について、上場会社の適用する範囲や単体決算の日本基準の在り方など早急に議論を開始すべきで、その際に米国やインド・中国などの導入状況も勘案していく必要がある。
・適用時には2年に遡って財務諸表を作成し直す必要があるので、企業側に不要な事務コストを発生させないためにも5年以上の十分な準備期間(米国基準を利用している企業には猶予期間)が必要。

【2012年 連合の重点政策】
労働者など多様な関係者の利益に資する会計基準の実現の為に、IFRSを強制適用することを当面見送る方針を早期に明確にする。

【経団連のIFESの適用に関する早期検討要望】(6月29日)
 IFRSの導入の判断をする2012年に向け、早急に議論を始めることと、その議論を踏まえ、IFRSを定める機構(IASB)に関して会計関係者が一丸となった意見発信を行っていく必要がある。

 ここで少し冷静に考えてみたいが、そもそもIFRS導入は何の為だったのだろうか。
2009年2月に公表された企業会計審議会「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)(案)」においては、各国投資者や企業の行動がグローバル化する中で、投資者保護、効率的な金融資本市場の形成、企業の資金調達のために比較可能性が重要で、その為の共通会計ルールとしてIFRSを強制適用するかどうか検討しましょうということだった。

 つまり、グローバルな企業活動を助けたり、内外投資家の信頼を得る金融・資本市場にする為にこそ必要だったはずだが、その議論も復活することを一投資家として望みたい。確かに、IFRSの本拠たる欧州の金融システムは未だ債務問題の動揺が収まらないし、震災対応で企業が大変な状況にあることも分かるが、市場機能と市場の会計ルールを強化してこそ、日本の企業活動を円滑に支援しうる金融・資本市場たることを、関係者の皆様が思い出して欲しい。

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