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最近のインサイダー取引考
最近インサイダー取引に関する話題が増えてきたように思うが、その定義は次のようになっている。

【金融商品取引法第166条(会社関係者の禁止行為)の規定】
“会社関係者が、上場会社等の業務等に関する重要事実を、職務等に関し知りながら、当該重要事実が公表される前に、当該上場会社等の株券等の売買等を行うこと。”
 簡単に言い切るなら、未公表の株価に影響しそうな情報を知って、株式を売買してはいけないとなっていて、不当な利益を出すことが前提ではなく、売買によって損失がある場合にも対象となり得る。
このインサイダー取引に関する直近の幾つか動きについて、少し市場関係者としての感想を交えながら考えてみたい。

【経済産業省幹部によるエルピーダメモリ(6665)株売買】
新聞報道によると以下の経緯のようだ。
・2007年7月に経産省商務情報政策局担当の審議官に就任。08年末から09年初めにエルピーダが台湾の同業者との連携を進める交渉について報告を受ける立場にあった。
・2009年2月11日、エルピーダと台湾3社の経営統合の動きが一部新聞で報じられた。
・2009年2月13日、妻名義の口座で株式を購入
・2009年3月中旬、当初より値下がりした株式を2回買い増し(合計約1万株)。エルピーダの連携交渉の直接担当となる。
・2009年4月中旬、一部を売却。
・2011年6月、証券取引等監視委員会(SESC)からインサイダー取引容疑で強制調査を受ける。
この事案がインサイダー取引に該当するかどうかは、今後のSESCの判断を待たなければならないが、先ずこの経産省幹部の立場は、金商法に定める会社関係者=上場会社等に対して法令に基づく権限を有する者(許認可権限を有する公務員等)に該当することは間違いない。また、妻名義であっても産業政策上注目される銘柄の株式を売買したことは事実のようだ。しかし、以上のような内容だけでは即インサーダー取引と判断するのは難しいのではないだろうか。台湾メーカーとの連携は、エルピーダにとっての重要事実だろうが、未公表だったかどうかというところ焦点をあてれば、新聞等でみんなが知っていたはずだという主張もある。また、この連携話がいつエルピーダとして事実上決定されたか、その決定に経産省幹部がどの様な影響を及ぼしていたか解明されなければ、市場ルールとしてのインサイダー取引規制違反を立証することは出来ない。
 とは言っても、上記の売買が事実であれば、世間の常識とは相容れない株式売買であることに違いはない。

【大震災後の国会議員による東電及び電力株売買】
 国会議員が、株式を売買することは何の問題もない。しかし、冒頭のインサイダー取引規定に示す処の会社関係者になり得るかどうかが焦点になる。つまりエルピーダの事例であげた経産省幹部と同じ様に、許認可権限を有する公務員等に入れるべきか如何。福島原発の処理、補償問題、ストレステスト、再生可能エネルギー法案など、政治の動向が東電を始めとする電力会社の先行きに大きな影響を与える状況を考えるなら、大震災後、例えインサイダー取引に該当しなくでも、当面国会議員は電力株を売買すべきではないというのが、一般国民の感覚ではないだろうか。
 それでも、国会議員が電力株・再生エネルギー関連株を売買するのは個人資産運用の自由なので、止めるルールは現在なさそうだが、売買されるご自分と経産省幹部の違いを、選挙民に説明する必要がありそうだ。

 最後に、ただでさえ日本の市場での個人投資家の売買が少なくなっているので、例へ国会議員であってもキャリア官僚でも大いに株式は売買してもらいたい。間違っても株式売買全面禁止など求めていないが、日本証券業協会が運営するインサイダー取引監視システムJ―IRISS(ジェイ・アイリス:Japan-Insider Registration & Identification Support System)に参加していただくのが、取りあえずの応急対策ではないだろうか。

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