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2017/08
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インサイダー取引規制とM&A
どの様な市場ルールでも、参加者や環境の変化とともに、その時代に合わせて修正していく必要があるのは当然だ。特に1600万人の国民が株主となっている日本の株主市場を守る為のルールも、今の経済環境や国際的な取引に適応したものに、変えていく必要がある。その市場を守るルールは、相場操縦的行為を禁止するものと、内部者取引(インサーダー)を規制するもの、2つに大別される。

今、金融審議会で行われている議論は、このインサイダー取引規制が、上場会社のM&Aなどの事業再編や、純粋持株会社の運営に支障がある部分(規定)があるので、変えてはどうかといったものだ。勿論、未公開の重要情報を知っての売買を禁止することは、市場を守る為に変えてはいけない事だが、現行の規定をそのまま適用してしまうと、会社法の制定やその後の改正産活法で容易になったはずの自社株を使った企業買収が利用し難く、純粋持株会社では煩雑なディスクロージャー対応を取らなければならない。少しテクニカルな話かもしれないが、現在のインサイダー取引規制の構造とその問題点を、すこし易しく考えてみたい。

金商法上のインサイダー取引規定(会社関係者の禁止行為)については前回説明したが、誰が売買を行うかが同規定の第一の問題となる。つまり法律上の会社関係者とは誰なのか。許認可権限を有する公務員が、この会社関係者に該当することは示したが(電力株に対する国会議員?)、会計士やM&Aのアドバイーザー、公告を引き受ける新聞社や目論見書を請け負う印刷会社なども含まれる。そしてこれらインサイダー取引が摘発された事例も起きている。
(注:会社関係者から情報を得て売買するものも、第一次情報受領者として処罰の対象となる)
今回の金融審議会での問題は、株式を上場している企業自らも含まれると解釈されているところだ。実際に企業自らがインサイダー取引を行ったとの証券取引等監視委員会(SESC)による摘発案件も複数は発生している。最近の事例としては次のものがある。
・大塚家具(8186)は、2006年2月1日~23日の間、市場からの自社株取得を実施
・同月23日、配当の上方修正(株価に影響を及ぼす重要事実に該当)を発表
・配当の上方修正は2月9日には既に決定されていて、自社株取得の責任者である執行役員も知っていた。
・この事実が判明したとして、SESCは2月10日~23日までの自社株取得をインサイダー取引規制違反として、大塚家具に対し課徴金納付を命じた。

第二の問題としては、どの様な行為まで株の売買として見做されるのか。第一の問題では、企業自らも会社関係者に含まれたが、第二の問題では、企業が自社株取得で得た金庫株を、M&Aなどの対価として誰かに渡す場合、現行のルールでは売買として見做されインサイダー取引の対象となるが、新株を発行してしまえば売買にはならない。財務上は、まったく同じ効果なのに、インサイダー規制に抵触するので金庫株が使えないという事になる。

第三の問題は、現行ルールの重要事実では決定したり発生する事を項目で列挙しているが、企業の開示事務の煩雑さを避けるために、軽微基準を設けている。例えば、業績の修正は重要事実だが、売上高の変動の場合、10%未満なら重要事実と見做さないという軽微基準がある。しかし、最近は企業がクループ化し、純粋持株会社が上場会社として存続する場合が増えており、その場合、この軽微基準が使えなくなる。
(純粋持株会社は、実際に事業を行う子会社からの配当のみが売上高に相当するので、実質的に軽微基準が著しく少額になる場合が多い)

何かパズルの様な説明になって、読まれた方々には申し訳なく思うが、現行のインサイダー規制の定義の一部が、事業再編等を行う企業にとって使い難いので修正するといったことが、今回の金融審議会での議論の中心となる。このことは、上場企業にとって使いやすい資本市場を目指す上で重要だが、是非投資家の視点でのインサイダー取引規制問題の議論も、付け加えていただきたい。
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