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格付及び格付機関への期待
先ず格付の機能について、その役割に対する考え方は、置かれた立場によって微妙に異なるものの、格付情報が投融資にとって非常に重要な役割を果たしていることは、一致している。特に個人投資家にとって、企業に対する信用情報は殆ど持たないので、公表された格付は唯一のものになる。企業の信用リスクに関する情報は、監査法人も接するが、それらは全て公開される訳ではないし、融資を行う金融機関と個人投資家が、企業の信用リスクに対する情報の非対称性があることも事実だ。この信用情報の隔たりを埋める役割として、格付は期待されている。

 企業の信用リスクを判断するような情報に直接触れることのない個人投資家にとって、格付による信用情報は、市場参加者としての情報の非対称性を埋める重要なツールである。勿論、投資判断は、個々の投資判断によって行われるべきだが、市場参加者間の情報の非対称性を少しでも解消する努力をすることが、参加者の多様性を守り、そのことが市場の維持・拡大に繋がる。プロと個人投資家間で情報の非対称性の幅が小さいFX取引が、日本において拡大しているのは、その証の一つだろう。

 今後成長力の限界がある日本の市場にとっては、個人投資家が企業の信用リスクを判断する方法としての格付は、更に重要な投資情報になる可能性もある。格付機関が意見といっても、それが投資判断する為の基準になっている実態もある。例えば、ある個人営業の販売現場では、A格付けの社債投資は無条件で購入出来るが、それ以下の格付水準の社債になると、投資家が確認書を求められる。

 ただし、格付機関が常に投資家とは利益相反する可能性のあるビジネス・モデルであることに留意することも必要だ。格付は確かに投資家の為に提供されるものだが、その費用は発行者が負担する。また、投資家にとって重要な格付後の発行体ウオッチしていく費用も、担当アナリストの労力に比べて十分でない。更に、格付対象の企業のコンサルイティングを行うことと格付作業が併在することは、投資家に対する利益相反行為として見做される。アナリスト等のインサイダー取引へ関与の監視も必要になっている。

 期待されている格付だが、格付機関は単なる金融サービス業ではなく、投資家の信頼を維持する為、より高い職業倫理性が求められているのが現状のように思われる。それを支えるのは、格付機関自らの過去からの企業倫理と、投資家の格付利用の在り方、それぞれを活用する双方努力に依るのではないだろうか。

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