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2017/06
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海外株主=公募増資の日本仕様を怒る
 公募増資の発表を聞いて、直ぐその銘柄を売る。と言うのが、今の市場のトレンドで、この事に良い悪いはない。その売りが、保有する株式の売却であっても、誰かから借りて売る売却でも(許されている空売り)、公募増資の報を一つの売り材料として売却するのは、其々の投資家による投資判断の結果に過ぎない。デイトレーダーでも、裁定取引を行うヘッジファンドでも、投資家としてのこの行動は守られなければならない。一方、大量の公募増資を行う企業も、それが自社を大きく変える事業目的に沿う資金調達なら、株主から授権されている株主の範囲でファイナンスを行うことが取締役会に任されている。

 流通市場では、どの様な投資家であっても同じルールで扱わなければならないし、発行市場でのリスクマネーの調達機能も阻害してはならないが、問題はこの流通市場と発行市場を繋ぐ部分が、何らかの制度疲労を起こしているのでは思われることだ。勿論、その中心に引受証券会社がいる。

 先月25日、グローバルな投資家の業界団体であるアジア・コーポレート・ガバナンス協会(ACGA;Asian Corporate Governance Association)は、金融庁に対して、日本の上場企業の増資の在り方について要望をおこなった。その中で、ここ数年の日本企業の増資の在り方は、グローバルに長期投資を行う投資家にとって問題があり、増資に絡んだインサーダー取引の排除と既存株主の希薄化対策が、日本の資本市場でも必要だとしている。

 金融庁や取引所の、大規模な第三者割当(希薄化率が25%以上となる)を実質的に規制する対応策や、ライツ・イシュー(ライツ・オファリング)に対する推進策は、一定の評価をしながら、日本での公募増資の在り方については、特に引受証券会社に対して厳しい目を向けている。引受証券の行うソフトヒアリングという海外投資家への事前需要調査を通じて、大型の公募増資に関する情報が、増資の公表前に一部の裁定取引を行うファンドマネージャーに流れて、インサイダー取引を引き起こしている可能性があることや、引受証券にとって大事な顧客である一部の投資家に公募株が重点的に配分され、既存株主が希望する株数を取得できない事などが指摘されているが、その改善策として次のような事が提言されている。

○引受証券会社は、公募株を割当てたリストを増資企業に提出すべき。これによって、企業の目的に沿わない投資家(短期売買を行うファンドなど)への大量配分は制御される。また、このルールは法改正を伴わない証券業協会の自主規制で変えられるとしている。

○発行済株式総数の10~20%を超える公募増資は、株主総会での株主の承認を必要とし、既存株主の権利を守るべき。

○公募の期間を現在の7日~15日から、多くても5営業日以内に短縮して、投機的なファンドが空売りを仕掛けて機会を減少させるべき。

○空売りをした投資家に対して、シートカバーの為の公募株割当を禁じるべき。(この部分は、現在法改正に向けパブリックコメント期間中だが、対象の空売りは公募発表から値決め日までに限られるのが金融庁案)

そういえば、20年以上前になるバブル期にも大量の公募増資やCB発行が問題になり、旧大蔵省による発行規制・協会による引受判断の規制が行われたが、1990年代半ばには全て撤廃された。このような需給調節を目的とする規制は二度と望まないが、せめてグローバルな長期投資に合う発行市場ルールを考え直す時にきているのは事実だろう。怒っている時は、まだ期待している時でもある。

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