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2017/08
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期待に応えられない市場:グリーンシートの場合
新興市場の活性化の議論の時、必ず出てくるものにグリーンシートがあるが、一般の投資家には余り馴染みがないので、少し説明しておきたい。

 グリーンシート制度は、未公開株の売買で唯一証券会社が投資家に勧誘することが出来る制度である
(※勧誘できないものは、証券会社は実質的に取り扱わない)。別に未公開株でも売買することは可能だが、証券会社が勧誘できる根拠は、日本証券業協会の“グリーンシート銘柄及びフェニックス銘柄に関する規則”による。この制度は,1997年7月から始まっているが、一定のディスクロージャーが行える企業で、かつ証券会社が売買の気配値を継続的に出すことで、一般の投資家も売買することが出来る制度となっている。現在、56銘柄が取り扱われているが、新興市場議論の際には、新興市場への株式公開(IPO)銘柄予備軍として期待されている。実際、過去には11銘柄が新興市場への上場を果たしていて、新興市場でのIPO増加の裾野拡大の為、このグリーンシートを活用できないだろうかというのが、金融庁のアクションプラン(2010年12月)にも載っている。

 しかし、グリーンシートそのものには、現在多くの問題がある。

●制度に参加する証券会社が極端に少ない。
 どんな金融商品を取り扱うかは証券会社の自由だが、多くの証券会社が新興市場株を含めた上場企業の株式を取り扱っているのに対して、このグリーンシート銘柄を取り扱う証券会社数は、僅か9社に限られている。その証券会社も、全てのグリーンシート銘柄を取り扱える訳ではなく、銘柄毎に取扱い可能な証券会社が限られる。なお、ネット証券及びネット取引で対応可能な証券会社は、現在のところ無い。

●企業の株価水準が分かり難い。
 投資家にとって最も重要なのが価格情報だが、いくらが適正な株価か、非常に分かり難い。銘柄をカバーするアナリストがいないのはしょうがない事かもしれないが、全体的には売買が成立するのは稀で、市場の実勢価格が分からない。制度としては、取り扱う証券会社が気配値を提示しているが、売りか買いどちらか一方の値段なので、その気配値の背景や根拠などが、一般の投資家に分かり難い。

●売買のインフラが不十分である。
 前日の気配値は協会のホームページ知ることが出来るが、今日現在の値段を知るインフラが無い。(昨年5月まで専用のPTS=取引システムがあったが、現在は稼働していない)。また、上場株式と異なり株券が電子化されていないので、現物での決済となるが、このことが取り扱う証券会社の負担を重くしており、投資家のコスト増にも影響している。

●制度に参加する企業のファイナンスには余り役立たない。
 取り扱う証券会社の募集能力にもよるのだろうが、“拡大縁故募集”といって制度に参加する企業自らが増資の引受先を探し、新株の払込をお願いしながら公開されるケースが多かった。その為、グリーンシートに参加した後の公募増資が出来ない場合もあり、参加企業の最大の不満は、資本市場として企業の資本調達に余り役立っていないことだった。

●ディスクロージャーの仕組みはあるものの、企業には負担が重く、投資家には不十分となっている。
 一般の未公開会社は、株主数が500名以上とならなければ、法律上の開示義務(有価証券報告書などの提出義務)を負わない。しかし、グリーンシート制度参加企業は、有価証券報告書の様式に準じて作成される会社内容説明書を作成しなければならない。この作成は年1度なので、企業活動に変化があった場合の情報開示は、企業の自主的な取組みに委ねられる。一応、TDnet(取引所の情報開示システム)は使えるが、取引所の適時開示ルールが適用される訳ではないので、企業自らの情報開示に株主や投資家は頼ることになる。

以上のような問題も含めて、グリーンシートの抜本的見直しは、来年3月を目途に行われる。こちらの方は、期待して良いのかも知れない。
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