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2017/11
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ファイナンス事例を考える:エルピーダメモリの場合
資本市場の機能をやさしく言うと、透明で公平な株式などの流通の場の確保と、上場企業の資本調達の機能を守ることだ。教科書的には、資本市場は流通市場と発行市場から成り立っているということだが、流通市場の方はマスコミでも常に取り上げられるものの、発行市場の方は企業がしょっちゅうファイナンスをする訳でもないので、注目されることも少ない。そして、発行市場の関係者も少なく、実質的には取引所と一部証券会社に限られている。しかし、公募増資などのファイナンスの影響は、その銘柄には大きな影響を及ぼすので、株主や投資家の判断を大きく変えることもある。一般には余り注目されない発行市場の仕組みだが、今は少し古くなっているのかも知れない。少なくとも、ファイナンスが買い材料とならない今の発行市場のあり方には問題が多い。直近のファイナンス事例として、8月月初に払い込みが行われたエルピーダメモリ(6665)のファイナンス事例から、その問題点を考えてみたい。(※以下は、個別銘柄の投資判断には利用しないで下さい。)

【希薄化の問題】
・公募株式による増加分
A:国内募集分1827万株、B:国内主幹事証券への第三者割当分273万株
C:海外募集分3392万株、D:海外主幹事への追加割当分508万株
以上の合計で、6000万株になり、その時点の発行済株式総数2億1451万株に対して、28%
・新株予約権付社債(CB)による増加分
発行額275億円に対して、転換価格962円なので2858万株の潜在株なので、13.3%
以上の総合計で、希薄化は41.3%

【株価の下落問題】
・公募公表前日株価(7/8)901円
・公募公表1ヵ月前株価(6/10)1000円=▼10.9%下落
・公募公表1ヵ月前株価(5/10)1283円=▼42.3%下落
・公募公表後値決日までの株価=7/11(終値:787円)→7/25(終値:770円) この間の株価下落率 ▼2.2%

【新株の発行価格の問題】
資本に組み入れられる価格715.2円だが、投資家が新たに払い込むのは746円、この差額は新しい株主が引受証券会社に約4.3%の手数料を自ら払ったことになる。また、値決日の終値とこの746円の差額約3.2%分は、市場での流通価格より有利にして新株の募集をし易くするものだ。結果として、旧来の株主からみると、合計で7.5%も市場価格からディスカントされて新株が払い込まれたことになる。

【空売りの問題】
 個人か行う空売りは信用取引によるが、同銘柄の直近の売残高は僅か14万株(8/9時点、買残高は1876万株)に過ぎない。これに対し、金融危機後始まった空売り報告(発行済株式総数の0.25%以上、誰かから株を借りて空売りした場合の報告義務)による最近(8/5日東証公表分)では、329万株分ある。ちなみに、空売り株数の推移は以下のようになっている。
・値決日に近い日=7/29報告分 321万株
・公募公表日に近い日=7/8報告分 513万株
・公募公表の一ヵ月前程度=6/10報告分 124万株
・公募公表の二ヵ月前程度=5/13報告分 141万株
ちなみに、公募公表後の空売りに対しては公募株を割り当てないよう法規制の改正予定となっているが、欧米機関投資家からは、公表前のファンド等による空売りの可能性(もしあれば、インサイダー取引)を指摘されている。

【ディスクロージャーの問題】
発行企業による公募公表前の情報管理、公表後の情報提供が非常に重要になっている。
・5/12 決算発表時 主力商品のDRAMの価格変動が激しい為、通期の業績予想はないが、4~6月期予想として出荷ベースで2~3割アップ予想
・7/11 公募公表時 資金使途は広島工場の設備投資、 なお4~6月期の出荷ベース増加を2~3割から1~2割へ下方修正
・8/8  第1四半期の決算発表 4~6月期の出荷ベースは15%増加、7~9月期は約10%の増加を予想

 以上の問題全般に言えることだが、一般の投資家や株主にも分かり易い言葉、実態にあった言葉の定義、使わられる言葉の統一性など、発行市場は関係者の言葉使いの改革から実行すべきと思う。

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