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2017/06
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今、改めて格付機関を考える
今回の世界的株価連鎖安は、格付機関の動向が引き金になっているが、それでも格付機関そのものを非難する声は投資家の間ではない。市場が潜在的に抱えていた問題を、顕在化させただけで、むしろ問題の本質は行政や政治的動きにある。というのが、マスコミや市場の現状の評価だろう。しかし、本当にそうなのだろうか。格付機関そのものは、グローバルに活動するものの公的機関ではなく、収益を重視する民間企業なのだが、彼らに対する監視は、金融危機後始まったに過ぎない。いや正確にいうと、S&Pやムーディーズ、フィッチなど世界的な影響力を持つ格付機関への監視体制は準備中というところだろう。

 格付けそのものは、投資対象の信用力調査能力を持たない普通の投資家にとって、非常に便利なもので、行政もそれを利用していたが、格付けを行う格付機関に対して、その問題点は早くから指摘されていたものの、監視体制を整備しようとしたのは金融危機後に過ぎない。

【格付機関の過去の失敗】
・97年夏のタイ、インドネシア、韓国などアジア諸国、98年のロシア、99年のブラジルなど、当時の新興国累積債務問題に関して、通貨が先に下落してソブリン物の格下げ対応が後追い的だったとの指摘がある。
・エンロン事件において、破綻が明らかになるまで特殊なスキームが企業本体に及ぼすリスクを判断できず、エンロン関係債券で多くの投資家が突然の損失を出すこととなった。(※問題の本質は不正会計)
・金融危機の原因となったサブプライムローン利用した合成債券、企業の信用力(CDS=)を複数組み込んだ債券などの格付け手法が適切だったか、若しくは格下げのタイミングが最善だったかの批判がある。

【指摘される問題点】
・エンロン事件を受けて証券監督者国際機構(IOSCO)は、2003年「信用格付機関の活動に関する原則」で次の4つの原則を守る基本行動規範を示した。
○格付プロセスの品質と公正性(ちゃんとした格付手法で、その方法が公開されていること。など)
○独立性及び利益相反(格付機関の他の収益部門例えばコンサルティングなどから、格付を行う組織などが独立していること。など)
○格付の公表の透明性と適時性(格付の公表が一定のルールに基づいて、かつ適時におこなわれること。など)
○秘密情報(格付の公表まで、情報が管理されていること。また格付の過程で格付対象から取得した未公表の情報が守秘されること。など)

【監視体制】
金融危機の後のG20において、グローバルに活動する巨大な金融機関や格付機関に関しては、国際的な監視体制の中で、その行動監視していこうと合意されていた。金融機関は各国金融当局による日常の監視体制があるものの、格付機関に関しては次の様になっている。
・米国はエンロン事件を受けて2007年に間接的な登録制になっているが、調査権限のあるSEC(米国証券取引委員会)に直接登録させるのは2010年に成立した金融規制改革法で可能となり、現在登録への移行がなされている。
・日本では金融商品取引法の改正により登録制となったが、主要な海外格付機関については、昨年の12月に登録が行われている。
・欧州に関しては、本年1月に欧州証券市場機構(ESMA)が設立され、格付機関の登録受付が7月より監視権限を持つようになったが、S&Pやムーディーズ、フィッチの登録は未だである。

つまり、グローバルに影響を及ぼすことが出来る格付機関に対する国際的な監視ネットワークは、理念としては共有されているものの、未だ構築されていないのは主に欧米当局と格付機関の調整が終了していな為とも言える。
 
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