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2017/08
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ETN登場の背景と現状
8月23日にアジアでは初めてとなるETN(Exchange Traded Note=指数連動証券)が、2銘柄東証に上場した。バークレイズ・バンク・ピーエルシーが発行した債券だが、投資対象とする指数に連動した価格で発行者であるバークレイズがいつでも買い取るという仕組みで、指数との連動性を高めた商品として期待されている。投資対象となる指数は、恐怖指数と言われるS&P 500 VIX中期先物指数と商品指数であるS&P GSCI トータル・リターン指数だが、9月6日には貴金属やエネルギー・農産物の指数に連動する7銘柄が加わる。
このETNが登場したのは、2006年6月にバークレイズによって発行されたものが最初だが、その後欧米の大手金融機関により発行されている。同じ様に指数に連動するファンド(日本では受益証券=投資信託)のETFは、1990年にトロント証券取引所で初登場しているのに比べ、歴史は浅い。

しかし、ETNがETFの欠点と言われる下記の問題点を改善している。
●ETFは、投資対象とする指数に連動しているはずだが、時として指数へのトラッキング・エラーが長期化してしまうことがある。つまり、指数が上昇している局面でも、ETFの価格が下落するような事が起きる。
この原因については、いくつかの研究論文があるが、簡単に言うならば以下のような事になる。
・ETFは、指数との連動の仕組みをマーケット・メーカーや取引参加者の裁定取引に任せている。
・しかし、裁定取引を行う為には指数を構成する現物の資産を最低限カバーする取引量が必要だ。日経225指数連動なら、225銘柄分のETF取引金額がないと裁定取引が行えない。
・つまり、一定量のETF取引量が無ければ、裁定取引が行い難い仕組みになっている。
○これに対して、ETNは発行者である金融機関(今回のETNはバークレイズ)が指数に連動した価格で買い取る。この為、原則的には指数へのトラッキング・エラーが発生しない仕組みになっている。

●ETFは、指数に連動させる為には対象とする株式や債券、リンク債などの裏付けとなる現物資産を保有する。この為、現物資産の管理コストや上記の裁定取引単位や規模など制約が生じることとなる。
○ETNは、この様な現物資産を保有せずに、発行者の連動価格での買取りを保証するので、管理コスト的にもETFよりは優位になる。但し、ETNは債券の形で発行者が買い取る仕組みなので、発行者の信用リスクを投資家が負うことになる。つまり、今回東証上場のETNは、投資家がバークレイズの信用リスクを避けたいのであれば、連動する指数に係らず投資対象とすることが出来ない。

●ETFは、現物資産を保有ため、外国人への投資規制があったり、希少資源、時間の経過とともに劣化する農産物への投資が困難だと言われていた。
○これに対して、ETNは指数さえあれば組成が可能と言われており、9月6日に東証上場予定のETNには、穀物指数や畜産物指数など農産物関連指数が4銘柄加わる。
以上のETFに対するメリットの為、ETNは欧米で増えつつある。例えばニーヨーク証券取引所に於いては、本年3月末ベースでETF・ETNは1175銘柄上場されているが、その内137銘柄がETNになっていて、全体の約1割強となっている。

今回、日本において上場されるETNは、海外の金融機関が発行した海外債券という扱いになるので、日本において流通させる為に、JDR(Japan Depositary Receipt=海外債券・株式などを担保として、日本で発行する預託証券)の形で国内においては決済される。この預託証券の貸借取引(同証券の貸し借りのこと)は可能となるので、信用取引を用いて空売りすることも出来る。

そもそも、個人投資家にとってのETFは、指数(インデックス)投資を少額でかつ公募の投資信託に比べて低コストで出来ることがメリットだったが、ETNの方が、裁定取引を前提としない個人には、インデックス投資として向いているかもしれない。なお、個人の課税は株式と同様で軽減税率の対象ともなっているが、殆どの証券会社では株式取引の発注画面と同じものを使っている。ETFでもETNでも、インディクス投資を個人に広めようとするなら、せめて指数との乖離状況が分かり易い情報の提供やその方法の工夫などが望まれる。

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