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2017/10
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リーマンショック後3年、投資銀行とは何だったのか=その2
グローバルに展開する主要な投資銀行を特徴付けるキーワードとして、次の3つが上げられる。

【仕組むこと】
 簡単に言えば異なるニーズを合わせること、売り買いのマッチングという事になるが、通常の市場機能が担わないことを仕組む。例えば、異なる市場間の売買ニーズ、企業間の潜在的M&Aニーズ、資金調達と投資家の異なるニーズなど、下記の証券化やファンドという手法を使ってニーズが合うように仕組む。

【証券化】
不動産や債権(ローン)など一般の投資家が本来は売買し難いものを、証券化によって小口化して売買を様にする。この際重要なのは格付けだが、多くの対象とするもの集めれば、統計学的にデフォルトする確立が導き出せるという考えが中心になっている。

【ファンド】
ファンドは、複数の投資家が本来の組織から離れ、投資目的に沿って投資行動を行うが、投資銀行のエクイティ部門にとって常に大口の売買注文を出すヘッジファンドとの関係は重要だ。その為、彼らに超高速の売買手段を提供したり、空売りする株を調達したり、レバレッジ取引が可能なように与信行為も行っている。またPE(プライベート・エクイティ)ファンドは、MBO手法を使うM&Aに多く登場するが、投資銀行自らが出資するPEファンドもある。
 以上の投資銀行の3つのキーワードは、関係する市場を拡大し、関与する企業や投資家に大きな恩恵を与えたことは否定できない。また、これらを有効に活用する為に、主要な投資銀行はグローバル・リーチという言葉を使っていたが、世界中の自社ネットワークを使って、多様な投資家と資金ニーズを利用することが投資銀行業務の強みになっていた。
 しかし、金融危機後次のようなことが政治的問題として指摘されるようになっている。

【仕組むことからの利益相反】
異なるニーズをマッチングさせるのは良いが、ではどちらの立場なのかという疑問。例えば、買い手に対して、売り手の状況が正しく伝わっているか。それが例えばプロ投資家間であったとしても、売買を仲介するなら、投資銀行は仲介者として可能な限り正確が情報を伝えるべきというのが、現在の米政府などの考え方になる。

【証券化の問題というより格付機関利用の問題】
証券化そのものは、資産の流動化という重要な機能をその国の経済に与えているが、その中核にある格付けの影響力の大きさから、格付機関に対する行政の不信感が消えない。最近の米国債格下問題でも、事前の情報の漏えいやインサイダー的取引の懸念があるようだ。日本では、昨年の12月から格付機関規制が始まったが、欧米では大手格付機関に対する監視を強めるべきと方向が決まっているもの、具体的対応はこれからのようだ。

【ヘッジファンドに対する行政の不信】
何らかの歪みを是正しようと裁定取引を行うヘッジファンドは、市場の中で重要な役割を担っている。但し、裁定行為の目的が時として政策的歪みをつくこともあって、一部の政治家(特に米国)から評判が良くない。ヘッジファンドは、通常の金融機関という組織から離れて、純粋に投資活動を行う分、市場に流動性を供給する機動的な投資家とも言えるが、そう評価するのは彼らが市場の参加者として市場ルールを厳格に守っているかということが前提になる。例えば、株を借りないで空売りするとか、相場操縦やインサイダー取引行為を行わないとかは当然だが、シャドーバンキングならぬシャドーインベストメントバンク(投資銀行が出資したファンド)であることも多くの問題を生じる。

投資銀行レースでは、日本は2周ぐらい遅れていると言われていたが、金融危機後それを必死で埋めようする野村の努力は好ましい。投資銀行の特徴である【仕組むこと】【証券化】【ファンド】のメリットを日本の資本市場にも定着させることが、大震災復興後の日本経済に好影響をもたらすと信じている。しかし、その為には同時に欧米投資銀行に係る政治的問題もクリアしなければならなく、日本の唯一のランナーにもその対策と新たな投資銀行ビションが求められている。
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