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2017/08
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大規模なファイナンス手法として、ライツ・イシュー制度の定着を望む
 現在の市場は、ギリシャ危機を発端とする欧州債務危機に揺れて金融危機第二幕の様相だが、南欧諸国の国債等を多く保有する欧州の金融機関は、いずれ大幅な資本増強策を取る事が予想される。今の日本では、ファイナンスと言うと売り材料だが、これは今の日本のファイナンス手法(公募増資や第三者割当)が、既存株主のもっているべき価値を毀損する可能性を示している。この株主価値を下げない、少なくとも持分を希薄化させないファイナンス手法として、欧州やアジアの一部などでの金融機関の大規模なファイナンスに、ライツ・イシュー(最近の公的な議論では、ライツ・オファリングと言う事が多い)を使うことが多い。日本でも昨年初めには、大手銀行のライツ・イシューの可能性が噂されていた。
その後、昨年3月にタカラレーベン(8897)が日本で最初のライツ・イシューを実施し、そのライツ(新株予約権)が2ヵ月弱の間、東証で売買され、そして約94%のライツが行使されてファイナンスは成功した。しかし、その後のファイナンスで、この方法は使われていない。その理由は、株主構成や実務的な手続きにおいて、現状では少し使い難いとされた点があり、この部分の制度改正が現在金融庁主導で進められている。
 今でもライツ・イシューは可能だが、タカラレーベンの様に8000名弱の株主ではなく、株主数が数十万人に及び海外株主などが3割前後もいる金融機関が、ライツ・イシューを使う場合の障害となりそうな事を、現在行政中心に一つ一つ潰しているような感がある。

○米国株主対策
この問題は、正確には米国証取法対策と呼んだ方が良いかもしれない。ライツ・イシューは株主全員に新株を引き受ける権利を与えるが、その中の10%以上が米国株主の場合、日本企業であっても米国での新株募集の為の開示手続きが必要になる。M&A業務におけるTOBの場合も、これと同じ様なことがあるので、通常は米国での開示作業を避ける為、米国株主は応募できない。同様にライツ・イシューの場合、ライツを米国株主にも割当てるが、行使できない前提なので売却するしかない。
実際、欧州企業などのライツ・イシューでは、米国株主にはライツの売却代金を支払って終わるが、日本企業が行った場合、米国の株主はライツを売るしか出来ないが、米国以外の株主はライツを行使(新株に払い込む)するか売るかの選択が出来る。この事が、会社法の定める株主平等の原則上問題ないかどうか、今月初めまで金融庁開示制度ワーキンググループ法制専門研究会で議論されていた。
結論は、問題ないので取引所ルールや証券業協会規則で制度整備するように、とのことだ。

○目論見書のネット交付
ライツ・イシューもファイナンスである以上、株主・投資家に目論見書を交付しなければならない。しかし株主数が膨大であり、かつライツを株主に交付してから払込みの間に重要事実が発生すれば、適時訂正の目論見書の交付も必要になる。株主が数十万人に及ぶなら、これらの目論見書配布作業は膨大な作業となる。その為、発行会社などの負担増が懸念されていたが、本年の金融商品取引法の改正で、これらの目論見書類をネット開示で済むように簡素化している。

○株主や投資家がライツを失権してしまった場合の処置
ライツは新株の払込日直前まで取引所で売買されるが、権利行使されずに失権してしまった場合の方法として、
①失権したライツをそのままにしておく=株主・投資家が行使した分だけのファイナンス
②失権したライツを、一旦証券会社が買い取り、証券会社がその分を一般投資家に販売する=コミットメント型ライツ・イシュー
がある。筆者は、別に無理をせずにライツが行使されたものだけのファイナンスで良いのではと考えるが、企業にとって決められた資本額を調達したいと考えた時、②の方法を使うことが想定される。しかし、今の日本で②の方法を使おうとした場合、もしそれが発行済みの5%以上を超えていた時にTOB規制や大量保有報告義務に証券会社が抵触しないことの確認が必要だった。結論は、簡単に言えばそれは証券会社の引受行為なので、ルールには抵触しないでしょうということになっている。

この様に行政上の確認を重ねていくことも必要かもしれないが、ライツ・イシューで今最も求められていることは、証券会社の実務的態勢整備なのではないだろうか。

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