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2017/06
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日本からみたヘッジファンド
ヘッジファンドという語感は、業界内にあっては洗練された運用技術、世間一般には何かの怪しさが付きまとっている。この相反するイメージは、ヘッジファンドが主張することが的を得ていること、その割には外部に発信する自らの情報が少ない事のギャップによるのだろうが、もともと特定の投資から資金を集め、それをごく限られた人数で運用し、その運用成果次第でファンドの報酬が決まる仕組みで、投資家以外への外部露出は限定されている。しかし、レバレッジ取引を大きく行うイメージがあり、市場価格が大きく変動した時の理由探しに、よくヘッジファンドが使われたりもする。

 そのヘッジファンドの日本における概況は次のようなものだ。(金融庁:ファンドモニタリング調査の集計結果について平成23年9月より)
○平成23年3月末で、ファンド数446本、運用資産額合計 3兆0350億円
○平成22年度(昨年度)の販売は、ファンド数239本、運用資産額合計 5387億円(この数字の大半は、公募投信で、私募の部分は96本、517億円)
以上の数字は、日本で運用されているヘッジファンド(つまり運用者が日本の金商法に基づいた業者)で、またこの中にはヘッジファンド的運用を行う公募の投資信託も含まれている。

 ただ、日本の投資家は日本のヘッジファンドだけを買っている訳ではない。少し古いが、経済産業省のヘッジファンド研究会資料(日銀作成)で2006年のヘッジファンドの国別運用資産残高では、米国が60%、英国が22.4%、ユーロ圏が8.3%、日本を除くアジアが5.7%、そして日本は0.5%に過ぎない。つまり、日本の投資家の投資するヘッジファンドのほとんどが、欧米の海外で運用されている。

 このヘッジファンドの特徴と問題点については、主に次の様な点が上げられている。

①レバレッジ運用=このレバレッジの与信を誰が与えているかと言えば、ヘッジファンドから注文を受ける投資銀行(この業務に関してプライム・ブローカーと呼ばれる)が対応。つまりヘッジファンドは、資金や株式などの投資対象資産を貸して、ヘッジファンドからの注文を受ける。ヘッジファンドは、年に1割強が運用失敗から清算になるものがあるが、与信を供給する投資銀行としては、市場変動のリスク管理だけではなく、異変発生時の流動性リスク管理の必要性も指摘されている。

②運用の自由度が高い=空売りを積極的に活用するので、基本は売り買い両方が可能な投資対象を選択。また資産の売買頻度が一般のファンドより格段に高い。投資対象も多岐に渡るが、中には時価評価が困難なものもある。


③ガバナンスの問題(誰がチェックするのか)=ファンドは運用に特化した簡素な組織で、必要な機能で運用関係以外は外部委託する。例えば、運用資産の管理と決済などはカストティ銀行に、リスク管理は発注先の投資銀行に、投資資産の時価評価などはアドミニストレーターに任せる。運用の指図に関してのチェックは、理事や監査役を含めた委員会で行うが、ファンドマネージャーの投資活動を監視するにはガバナンス権限が不十分という指摘もある。

また、金融危機とは直接関係ないとは思われるが、金融危機後のG20ではヘッジファンドに対する監視体制を強めようということで合意がなされており、比較的ファンドビジネスに寛容な米国でも、次のようなヘッジファンドの届出制度が導入されている。(以下、ドットフランク法)
・ファンドの運用資産が1億ドル以上の場合,ファンドはSECへの登録を義務づけられた。
・登録されたファンドは,そのヘッジファンドに関する情報をSECに報告義務あり
更に、投資銀行はボルカールールにより高リスク取引を規制されるため、
・自己のトレーディングやヘッジファンド・PEファンドへの出資などと原則禁止(但し、自己資本Tier1の3%以下の金額に限り許可)
と言うルールが決定しているが、この部分は現在の投資銀行の収益への影響が大きいので、2014年までに実施される予定となっている。

 ヘッジファンドの投資行動に関する制約は今のところないが、日・米・欧州の実態が異なることと行政の温度差があり、ヘッジファンドへの期待と不安が入り交った各国行政の対応となっている。
(日本に関しては、国内のヘッジファンドが育ちつつある状況で、既に投資運用業として登録義務がある。またレバレッジ取引による信用供与で国内の証券や銀行が問題となるような取引水準ではない。先ずは、遅れていたヘッジファンドの国内育成を行うべきと筆者は考える。)
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