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2017/06
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自社株取得の出口戦略
 投資家なら、誰しも安く買って高く売る事を前提に売買を行おうとする。アナリストのレポートを読んだり、チャート分析に頼ってみたりするのだが、なかなか儘ならぬ結果となる事が多いのは当然の事だろう。しかし、安く買って高く売るのに最も近い立場にいるのが上場企業だろう。昔の商法では、資本充実の原則から、一旦株主や投資家から集めた資本を減少させるような自社株取得は出来なかったが、バブル崩壊後の金融機関の持ち合い解消に対応することと、資本そのものを欧米企業のように経営戦略として出し入れが出来る資本政策の柔軟化などから、自社株を上場企業自ら買い戻すことが可能になって10年以上が経過した。
誤解ないよう言いたいが、上場企業も自らの株式を安く買って高く売って良いのだ。そして、自らの業績は自らがもっとも良く知っているのだからアナリスト要らずで、チャートなどに頼る必要もない。
但し、投資家とは異なる売買ルールがある。それは、買うときも売る時も株主や投資家に公表してから売買を行う。前回は、買う方法について触れたので、今回は売り方についてコメントしてみたい。

 実際、上場会社が自社株を市場の立会時間内の取引で売ることは、持株会の参加者が脱会する以外には用いられることはない。しかし、自社株取得で買い取った株=金庫株を以下の方法で他者に売り渡すことが出来る。少しくどくて申し訳ないが、自社株取得の時のように市場(立会時間内)で自由に売却することは出来ないが、自社株を高く売っても良い。但し、この場合は利益には計上できず、儲かった(?)部分は資本準備金に別途計上される。(仮に自社株を取得価格以下で売却した場合は、この資本準備金のこの勘定科目にマイナスがたつ)

主な金庫株の処分方法は、以下のようなものがある。

①金庫株の売出し
自社株取得した金庫株は、資本勘定から差し引かれる(マイナス要因として計上)が、取得した株を売り出すときはこの資本勘定のマイナスが解消され資本が復活することになる。この金庫株の売出しは、結果としては増資するのと同じことになる。手続きは他の株主が売り出す時と同じだが、当然自らが抱えるインサイダー情報には配慮する必要があるので、インサイダー情報公表後に行わなければならない。

②M&Aの対価として利用
つまりお金の代わりに、相手に企業の株主に対して金庫株を交付する。この方法は、商法から会社法に変わった時、対価の柔軟化で認められた方法だ。安く自社株を買っておいて、株価が回復した時にM&Aの買収対価として利用すれば、結果として資本準備金も厚くなり、株主にもメリットが生じることになる。
但し、この方法は現在①の方法と同様にインサイダー情報に配慮しなければならない。もし対象となるM&Aが株価に影響を及ぼす様なM&Aであれば、公表までいくらの金庫株を渡すか決定できないことになる。その為、この方法は使い難いとされていて、現在金融審議会ではM&Aで金庫株を渡す場合に、インサイダー取引の対象となる売買の定義から除外する検討がされている。

③自社株を消却する
将来の資本調達とは別にして、一旦自社株を消却してしまうことは、株主にとって一株当たりの利益を高めるので、機関投資家などから好ましい処置と考えられている。企業財務の原則論としては、その通りかもしれないが、企業側に選択肢を多く与えることで自社株取得と促進させるべきと筆者は考える為、あまり消却に拘る必要もないと思う。

④金庫株としてそのまま保有する
①から③までを選択するまでのあいだ、取りあえずそのまま保有するケースが多いが、別途次の様な使い道の為に、保有し続けておく場合もある。
・新株予約権を株主や投資家に付与した場合、その行使に備える。
・役社員等に付与したストックオプションの行使に備える。
・発行した新株予約権付社債(CB=転換社債)の株式への転換に備える。
要は何らかの形で発行した新株予約権の行使に備えるという事だ。

最後のCB利用の特別なスキームとして、次の様なものがある。
自社株取得の資金調達を目的にCBを発行し、その資金で自社株を取得、その後の株価上昇でCBの転換が進めば、買い付けた自社株(金庫株)を転換の際に渡す、文字どうり安く買って高く売り仕組みを、リキャップCBと呼んでいる。例え手元資金が無くとも、自社株取得は可能なのだ。
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ジャンル : ビジネス

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とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
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