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証券会社の役割について考える-幻冬舎MBO問題より
証券会社の機能とは何なのか、改めて考えさせられる案件でした。
少し前になりますが、今年2月の幻冬舎の臨時株主総会でT証券の議決権の行使が問題となりました。総会での議案は、MBOの絡んだスクーズアウト(少数株主の排除←役員などにより設立された会社への完全子会社化が目的)での定款の変更でしたが、T証券が保有する株の議決権が全体の35.4%を占め、T証券の投票如何で定款変更に必要な特別決議(総会出席の3分の2以上必要)が成立しなくなる可能性がありました。つまり、幻冬舎の見城社長が目論んだMBOが成立しなくなるかもしれなかったので、この事はマスコミでも取り上げられ、世間の注目を集めました。

 経営者でも、発行企業であっても、そして証券会社でも、株が安いので買い集めるというのは、それぞれの立場で市場ルールに沿って行うことが可能です。しかし、経営者や発行会社は自社のインサーダー情報を有しているので、それを公表してからでないと買う事が出来ない。証券会社は、市場仲介者であると伴に自社のポジションで安く買って高く売るという自己売買取引など行うことが出来ますが、通常は議決権に影響の出そうな株数までは買わない、つまり市場仲介者(取引所へ売買を取り次く者)として他の投資家に大きな影響を与えるような自己ポジションの裁定取引は行うべきではないとの不文律がありました。

何故、T証券が3分の1以上の幻冬舎株を保有(市場買付なのでTOBでなくとも良い)したかというと、当初は顧客の信用取引分ということでしたが、この問題は信用取引の議決権の行使問題というと一般の個人投資家には解り難いので、この件の推移を整理して、その内容を見た上で、何が問題としてあるのか考えるできだと思います。

【幻冬舎のMBOに関する推移】
・2010年10月29日、幻冬舎は見城社長の持株会社によるMBOを公表。買付価格22万円(直前株価14万円台)
・2010年11月1日、TOB(公開買付)開始
・2010年11月12日、イザベル(今回のT証券の信用取引顧客)設立
・2010年11月24日、TOB期間中にもかかわらず、イザベルが幻冬舎株の買付けを開始。合計31回(日数ベース、最終買付日は2011年1月13日)10,198株(発行済株式総数の28.58%=自社株保有もあるので、議決権ベースでは35.4%)を取得
・2010年12月13日、MBOのTOBが目標に達せず、TOB価格を24万8300円に引き上げ。
・2011年1月7日、臨時株主総会の基準日。イザベルが取得した株式は信用取引によるものなので、基準日までT証券にイザベルから相当資金が払い込まれなかった為、T証券が議決権を保有と幻冬舎が公表(2月7日)
・2011年2月15日、臨時株主総会当日、T証券の議決権の行使がMBOの可否にかかわる為、注目されたが、T証券は総会を欠席、議決権も未行使で、MBOが実質的に成立。幻冬舎株は、3月に上場廃止へ

【当該信用取引の内容について】
・提出された大量保有報告書(訂正報告書)によると、取得資金は、23億8562万円なので、平均取得単価は23万3930円となります。但し、信用取引とされている内容をみると、イザベルの自己資金は6560.4万円とされ、36.3倍のレバレッジが掛かっていて、個人投資家が利用するような信用取引ではありません。

日本証券業協会では、この問題を信用取引で担保にした株式の議決権の問題として検討し、報告書を公表(10月11日)しましたが、むしろ問題は、証券会社としての情報の発信の仕方ではないでしょうか。

証券会社と言えども、MBOのTOB価格が割安だと考えれば、自ら投資しても企業を取得しても構いません。また、割安を前提に別の買い手を探して自己ポジションで裁定取引を行うことも可能です。しかし、問題は、自己の取得でもなく顧客(イザベルという新設の投資会社)の信用取引としたところに、ブローカー(市場へ取引を取り次ぐ者)としての分かり難さがあります。
今、証券会社に求められていることは、ブローカーとして最善の行為をすること、自己のディーラーと利益を求めること、それぞれが重要なのですから、問題点を明確にして市場への情報発信を明確にする努力ではないでしょうか。
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