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2017/06
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誰の為の格付機関か
今年後半の市場は、米国の格下げに始まり欧州債務問題に大きく影響されているが、その中心になっているのは“格下げ”というキーワードだ。この格下げを行うのは、勿論格付機関だが、いった誰の為に格付けを行っているのか、なるべくやさしく考えてみたい。

 先ずエンロン問題やサブプライム、リーマン問題を振り返った時に、格付機関問題が議論され、格付機関規制がG20などの金融政策協調でも確認されているが、ここで問題となるのはグローバルに影響力を持つS&P・ムーディーズ・フィッチの3社だ。そして彼らは収益を求める民間企業であって、公的若しくは共同組織を連想させるような機関と言う呼び方は本来なら正しくない。格付会社と呼ぶべきだが、関係者の間で格付機関との呼称が定着していたのは、これら3社の格付会社が非常に大きな影響力を持っていたからだ。債券を発行しようとする企業や組織、投資家も使うが、金融機関も積極的に利用し、国も金融制度などにおいても信用力を測る基準として使っている。すっかり各国の金融制度の中に定着していて、将に格付機関と言う呼称が相応しいが、残念ながら日本の格付会社の格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)はこれに当たらない。例えば、R&Iが30日、日本国債の格下げを発表したが、市場では殆ど影響はなかった。日本の格付会社の格付能力が評価されていないからではない。前記の3社のシェアが動かしがたい状況になっていて、使う側の変更する余地が余りないからだ。

例えば、金融危機に際に、企業や発行体の信用力そのもの証券化したCDOでは、これら3社の格付機関による格付けが殆どを占めていたが、はからずも金融危機によってこの格付けモデルが正しくないことが証明されてしまった。今なら金融機関の人間であれば、誰もが知っていることだが、だからといってこれら3社の格付け利用を止めてしまうことが出来ない。3社が提供する格付けに基づいて、運用のポートフォリオを既に組んでいるので、他の基準を利用して再構築することは難しいとどの運用担当者も考える。

 格付機関の格付けを使わざるを得ないのなら、ちゃんと格付機関をグローバルに監視していきましょうというのが金融危機後のG20の合意事項だが、先ず各国の金融制度の中で監視体制を作って、それを各国が情報共有しながらグローバルな体制を作っていきましょうということになっている。日本では昨年夏から格付機関に対する監視体制(登録制度)が始まり、主要外資系の対応は実質的に昨年12月からと既に1年経過しているが、欧米の実務的監視対応はこれからになる。

何を監視していくかというと、①ちゃんと格付けを行っているか②格付け行為と自らの収益に利益相反がないか、簡単に書くとこの様になる。①のちゃんと格付けを行うことは、格付機関が組織としてどの様な格付けプロセスや態勢整備を行っているかチェックすることなので、それ程困難なことではないと思うが、②の利益相反問題は、既に確立してしまっている格付けシステムの中では難しい問題だ。

普通のビジネスなら、お金を頂く方の為に仕事をするが、格付けをすることの対価は発行者が支払う。それを投資家が利用する。本来は投資家の判断基準となるもののコストは、投資家が支払うべきだが、既に発行されている膨大な債券の格付けがこの方法で発行されているので、今更投資家からコストを徴収するのは現実的ではないというのが格付機関側の主張になっている。また、政府が何らかの課税からこのコストを捻出してはどうかとの考え方も、グローバルな投資家が利用するコストをどこの政府(国民)が負担するのかという現実問題に行き当たる。

何か堂々巡りのような議論で読まれている方には申し訳なかったが、エンロン問題以降、グローバルな格付機関と金融当局の議論はこの様な流れで、一般には分かり難い。

しかし、格付機関が民間企業であり続けるなら、誰の為の格付けか明確にする必要がある。投資家が多く利用し、また大きな影響を受けるのだから、ここは投資家負担の新しい仕組みを模索するべきだろう。
欧米の主要な格付機関が、そのビジネスモデルを変えないのなら、日本の格付会社が率先して投資家からコストを徴収する仕組みを行い、遅れている日本の格付産業をアジアに浸透させる。アジアのコア・マーケットを目指すなら、そんな政策支援を期待したくなる。

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