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2017/10
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インサイダー取引に係る問題の概要=前編
インサイダー取引規制は、金融商品取引法第166条に会社関係者の禁止行為として定められているが、敢えて簡単に言い切ると次のようになる。
“公表前の投資判断に影響のありそう情報を持って、その有価証券を売買してはいけない”

この規制は、昔から証券取引のルールとともにあったものではなく、欧米などでのインサイダー取引規制強化の動きを受け、旧証券取引法に取り入れられて平成元年4月から施行されたものである。当初は、他の実務的な違反行為と同程度の罰則規定だったが、2度に渡り強化された(現在は、5年以下の懲役若しくは500以下の罰金、法人の場合は5億円以下の罰金)。またこれとは別に、取引違反者の経済的利益剥奪目的で平成17年4月より課徴金制度を導入している。

 このインサイダー取引に係る問題は、現状では次の4つほどある。

【インサイダー取引に対する規制そのものの有り方】
取引規制なので、対象を定めていかなければならないが以下ことが問題になる。
・規制の対象となる会社関係者とはどの範囲まで指すのか
上場企業の役社員は当然だか、アルバイトや派遣も含まれるし、その業務(投資判断に影響を及ぼす様な)に関する外部の関係者も対象となる。例えば、許認可権を持つ官庁の公務員、弁護士や会計士、引受証券会社や金融機関、公告を受ける新聞社や印刷会社の社員なども含まれる。また、これらの会社関係者から未公開の情報を受け取った者(第一次情報受領者)も同様の規制対象となるが、更にその先の又聞きしたもの(第二次情報受領者)の行為はどうかという問題がある。

・投資判断に影響を及ぼす情報とは誰がどう判断するのか
規制により重要事実(子会社分も同様)として定められているが、ファイナンスやM&Aなど企業が決定するもの、被災や主要株主の移動など外部要因から発生するもの、業績や配当金など決算に関する情報の3つに分かれ、其々に数値基準がある。またこれ以外に、その他投資判断に著しい影響を与えるものというバスケット条項もあって、これを誰が判断するかというのが議論になる。(正確には、判断するのは経営者だが、誰の判断基準を使うかという問題)

【企業の対応について】
企業が重要事実の情報管理を行うのは当然だが、役社員の自社株売買に関する社内規定も必要となっており、これらを社内コンプライアンス部門が管理する必要がある。つまり、ファイナンスやM&Aに関する情報を誰まで伝えてよいのか管理し、また役社員の株式売買に関して社内ルールを整備し、その運営を行うことが上場企業として求められている。一歩進めて、取引関係先に上場会社がある場合のインサイダー情報も管理と対象企業の株式売買管理も必要だろう。

一方、証券業協会は潤沢な証券市場基盤整備基金(ジェイコム事件での各証券会社の利益相当分の拠出金)を使い、上場会社の役員等のインサイダー取引等の不公正取引を未然に防止するためのシステムJ-IRISS(ジェイ・アイリスJapan-Insider Registration & Identification Support System)を平成21年5月に稼働している。これは、上場会社の役社員(親会社の役員も含む)などのデータを同システムに登録し、株式の売買注文を受けた証券会社がインサーダー取引の有無を確認するものだ。一応、照合を行う証券会社に対しては、個人情報は通知されないという建て付けになっている。現在(12月15日)、2095社が参加しているが、11月末での上場企業数は3598社なので、約58%の加入率ということになる。インサイダー取引防止の為には、早期の上場企業全社参加が望ましいが、インサイダー取引を行うは、役社員だけではない。前述の規制欄で上げた会社関係者には、M&Aやファイナンスに係る関係者が上げられているが、これ等のビジネスに関係する証券会社や金融機関の役社員・弁護士や会計士・公告や目論見書作成に関係する者なども自発的登録を促すべきではないだろうか。

(※後編はインサイダー取引規制について、以下の項目に関することを記載します)
【海外での日本株取引等に係るもの】
【企業活動に対する影響について】
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