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2017/11
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市場の需給関係から発行市場を考える
 株式市場の先行きがどうなるかはマーケットアナリストにお任せして、市場への株式の供給と吸収と言う面から発行市場の機能を考えてみたい。
少し単純化して考えたいので、市場への新株の供給を公募増資、市場からの吸収を自社株取得としたいが、金融危機後の金額ベースの需給は以下の様になっている。

2009年  公募増資 49,668億円(実際は追加発行による売出しもあるので5.3兆円程度)
自社株取得 8,376億円
差引き  41,292億円 の供給過剰

2010年  公募増資 33,097億円
       自社株取得 9,099億円 
       差引き  23,998億円 の供給過剰

2011年  公募増資  9,124億円
       自社株取得17,054億円 
       差引き   7,930億円 の吸収超過

この数字からみると、昨年はやれやれと言う感じで、大震災もあり欧州危機の深刻化もあり、市況が低迷した影響で、単純な株式の需給関係は改善している。海外投資家は買い越さなくとも、個人が貯蓄から投資へ資金を替えなくとも、この部分で今年の市場のムードが改善されればと期待したい。
ところで、足元の株式市場は欧州債務危機懸念の一服感からリスク・オンの流れが出来始めているが、これで市況が大きく回復すれば、再び大量の公募増資が始まるのだろうか。

 2009年の公募増資による市場への新株の供給規模は、バブル最盛期に匹敵すると以前指摘したが、1989年の公募増資金額は、58,302億円。実数で2009年より5千億円程度多いが、良く考えればその時の株価水準は、現在の4倍もしていた。バブル直後は、公募増資による市場への新株供給過剰を改善する為に、ファイナンス・ルールが導入されたが、以下の様な概要だった。

○発行数量に関する規制=公募増資なら、発行済み株式総数の15%まで、CB(現在の新株予約権付社債)なら潜在株数相当で20%
○収益性に関する規則=公募増資なら、ROE8%以上か、発行直後にこの数字の達成見込みがあること
(増益基調を引受証券会社が確認することは、現在のエクイティ・ファイナンスでも同じだが、このことを確認した証券会社が、当時の大蔵省や証券業協会に説明しなければならなかった)
○利益の配分に関する規則=全てのエクイティ・ファイナンスに対して、発行後の増配など株主に対して実質的な利益の配分を増加することを約束し、これを公表すること。

これらのファイナンス・ルールは、1996年4月までに全て撤廃され。
今更、ファイナンス・ルールを導入すべきと主張する考えは全くない。しかし、既存株主からみて無節操な大型の公募増資が復活することがないよう、発行市場の規律を守るべきは大手証券会社の責任ではないだろうか。上記のファイナンス・ルール:発行数量、収益の拡大、株主への利益配分の考え方は、市場規律として重要なことだし、そのことは、リスクマネー調達の場としての日本の市場機能を守ることに繋がる。

取引所など流通市場の機能強化も大事なことだが、一方に発行市場機能という大切な仕組みが連動して日本の資本市場が成り立っていることを思い出して欲しい。

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