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アルゴリズム取引と相場操縦
 この標題は、大阪証券取引所により行われている金融商品取引法研究会での報告による。昨年9月16日に開催された研究会での報告と議論の議事録が、大証のホームページに1月24日公表された。
東証も大証も、ミリ秒単位の取引システムの超高速化を進めており、マイクロ秒水準で更なる高速化も視野に入っているが、その目的は世界中の取引所で今や主流になりつつあるアルゴリズム取引に対応する為だ。
 取引するものが、アルゴリズム取引を行おうとした場合、取引所のシステムに物理的に近いところのサーバー(取引所が提供するコロケーション・サービス)に、独自のアルゴリズムで作成した売買プログラムを組み込む必要があるが、この取引を利用できるのは、自らアルゴリズムを作成でき、そのアルゴリズムに基づき取引所から送られてくる売買関連情報を超高速で処理できるサーバーを保有する者に限られる。
主役はプロップ・ハウスと言われる海外業者だが、これに一部のヘッジファンドや証券会社の自己売買が加わり裁定取引を中心に行う。一方、一部の機関投資家がアルゴリズム取引を利用することがあるが、こちらは、大きな売買注文のマーケットインパクトを減少する目的で利用しているようで、先の裁定取引とは目的が大きく異なる。
 アルゴリズム取引は間違いなく流動性供給強化に繋がる市場のイノベーションだが、利用できるものが限られている上、板読みや1円切りなど従来の売買手法が通用しなくなったり、頻繁の売買注文の取消しが行われることから、一部の個人投資家や証券会社のディーラーから感情的な反感もある。
その反感は別にしても、頻繁に取り消される売買注文の中に、大口のしかも寄り付きや引け間際の時期に行うものについて、これを人的に行えば“見せ玉”として相場操縦行為にあたるが、システム的の行う行為がはたして法規則面で該当しないのかとの指摘が行われていた。

 先ず、大証が真正面からこの問題を取り上げたことに敬意を表したい。
大証は昨年12月より、先物・オプション取引に関して寄り前や引け直前の1分間に限り原則注文の取消しを禁じた。大証によると、同様の措置はシンガポールやCMEでも禁止行為とされているということだ。

 今やアルゴリズム取引は、米国では7割、欧州でも5割を占めるようになっているが、この取引の問題点に関して、グローバルには以下の様に考えられているので、大証の参考資料より紹介しておきたい。
①証券監督者国際機構(IOSCO) 2011年7月6日市中協議報告書「技術革新が市場の健全性・効率性に及ぼす影響により生じる規制上の課題」
 伝統的な投資家の市場参入意欲の減退
 2010年5月のFlash Crash時に見られた価格変動の短時間での多方面への影響
 市場の信頼性維持のためには,複雑な取引パターンに対応できる監視システムや監視方法が必要

欧州の方がもう少し具体的に踏み込んで規制しようとしていて、アルゴリズムによる不正取引の定義も行っている。

②欧州証券市場監督局(ESMA)2011年7月20日「取引プラットフォーム,投資会社及び規制当局のための,高度に自動化した取引環境におけるシステム及び統制に関するガイドライン」
 自動化した取引環境における公正で秩序ある市場の促進及び不公正取引防止のために必要な規則や手続きの整備
 高速・高頻度の取引の監視に対応したシステムや人材の確保
 高速取引によってより広まるであろう不公正取引の形態を例示
 ○Ping order:他の参加者の反応を引き起こすことを目的とした少量の注文
 ○Quote stuffing:様々な注文を発注して他の参加者の処理速度を遅らせる
 ○Momentum ignition:特定方向に積極的に注文を出し,トレンド追随者にそのトレンドの後押しをさせる。
 ○Layering & spoofing:いわゆる「見せ玉」

 東証・大証ともアルゴリズムに対する確認やチャックは行っているようだが、取引の高度化に伴い、監視も高度化が要求されている。
不公正取引の問題に関して大事なことは、個人を含めて多様な参加者を維持する為に、常にオープンな議論が必要ということではないだろうか。
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