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2017/08
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ソーシャルビジネスと資本市場
本文は、“ソーシャルビジネスと証券市場”(日本証券経済研究所発行“証研レポート2月号”松尾氏)を読んでの感想から始まる。先ず、ソーシャルビジネスと聞いて真っ先に思い出すのが、有名なグラミン銀行などのマイクロ・ファイナンス、そして最近は、音楽ファンドなどの事業ファンドを手掛けていたミュージック・セキュリテーズが取り纏めた被災地応援ファンドがある。この2つは、マスコミや学会・金融審議会などでも取り上げられるが、現在の日本の資本市場とは相当な距離があるように思っていた。

そもそもソーシャルビジネスとは何かについて、確認しておきたい。
昨年3月に公表されたソーシャルビジネス推進研究会報告書(経済産業省:ソーシャルビジネス/コミュニティビジネス連携強化事業)によると、ソーシャルビジネスとは次の様に定義されている。
○様々な社会的課題(高齢化問題、環境問題、子育て・教育問題など)を市場として捉え、その解決を目的とする事業。「社会性」「事業性」「革新性」の3つを要件とする。
○推進の結果として、経済の活性化や新しい雇用の創出に寄与する効果が期待される。
言葉は易しいが、実際に関わったことがなければ普通の投資家がイメージするのは少し難しいかもしれない。行政や学者の方々がソーシャルビジネス/コミュニティビジネス(略してSBやCBと表記することもある)をそれぞれ定義されているとは思うが、筆者の受けた印象は、これらのビジネスと資本市場の関わりは、現状では概ね事業ファンドに集約されるのではないだろうか。

 この事業ファンドは、投資家が扱いなれている投資ファンドとは基本的な仕組みは同じ事が多い。所謂、匿名組合方式を使うのだが、金融商品取引法上の集団投資スキーム(金商法2条2項5号=みなし有価証券)として定義されており、これを扱うものは第2種金融商品取引業として登録する必要がある。その出資金の50%以上を株式や債券などの金融商品に充てられるなら、投資ファンドとして規制を受ける。つまり500名以上なら、特定のものからお金を集めるのではなく、そのファンドを公募しているのだから有価証券としての開示を求めるという考え方だ。一方、音楽CDの製作やワイン・お酒の醸造、農業法人などへの出資は事業ファンドと見做され、投資ファンドの様な開示規制を受けることはない。
投資ファンドと事業ファンドは、どちらも同じ様なスキームを使うが、投資(出資)対象が異なるのは勿論、その投資目的が違う。事業ファンドの方は、投資以外にその事業に何らかの形で参加するという目的が加わる。例えば、音楽ファンドならCDを購入したり、食品関連なら消費者として利用したりする。

 時々マスコミで取り上げられている復興支援ファンドに関しては、この事業ファンドの特性に加え、被災企業を支援する目的の寄付が加わる。つまり投資家的視点でみるなら、投資(出資)+事業参加+支援(寄付)の3つのパーツから、このファンドは成り立っている。

復興支援ファンドの概要は、次の様になっている。 
・投資(出資)目的=被災地企業の応援
・1社あたりのファンド募集額=700万~1億円
・ファンドスキーム=匿名組合方式
・投資単位=1口1万円、ただし5000円は寄付、残りの5000円が出資金
・投資期間=6年~10年
・募集方法=インターネットでの情報提供と募集申込み
・投資家の報酬対価=応援事業が食品関係である場合は、その食品などと利益が出た場合の分配金。事業によっては、現地見学会などを行い、出資部分に対する4~5%程度の金利相当部分を支払うケースもある。

なお、この復興支援ファンドの副次的な効果として、地元金融機関などがこのファンド出資部分を被災企業の資本と見做す事が出来る為、融資を行い易くする行政措置が取られているようだ。(ミュージック・セキュリテーズの金融審議会資料より:金融検査マニュアルの改訂(平成23年11月22日)『十分な資本的性質が認められる借入金」(「資本性借入金」の扱い)

現在、ファンドの募集状況は約9億円の募集総額に対して、17,231人より5.7億円が集まっているようだ。(ミュージック・セキュリテーズのホームページより)

企画者のミュージック・セキュリテーズは、このファンドも含めて自社の事業ファンドをマイクロ投資と呼んでいるが、グラミン銀行の様なマイクロ・ファイナンスがそれまでの金融とは全く違く機能を見せてくれたように、マイクロ投資がソーシャルビジネスと資本市場の新しい架け橋になることを期待している。

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