*All archives* |  *Admin*

2017/10
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
大規模ファイナンスの予兆について
株式市場の重要な機能には、株式の流通の場の提供とともに、企業へのリスクマネーの供給があります。簡単に言いますと、日頃投資家が接している流通市場がちゃんとしていないと、企業はリスクマネーが調達できませんし、やみくもに企業の公募などのファイナンス(市場への株式の供給)が行われると流通市場が大きなダメージを受けます。

ファイナンスを行う企業と投資家・株主との間には以下の様な暗黙の合意があるというのでなければ、継続した市場として成り立ちません。
○ファイナンス資金は、企業の成長に利用される。【資金使途】
○ファイナンス後、企業は大きな成長を遂げる。【業績の向上】
○ファイナンスによって、株主もメリットを受ける。【ファイナンス後の株価上昇、配当等の増加、成長による資本持分の増加】

これらは、企業が決定していくことではありますが、そのお手伝いをするのが引受の主幹事証券会社ということになります。公募のファイナンスは、経営者が思い立ったら直ぐ実行できるという訳ではありませんので、その準備には少なくとも3カ月、普通は半年程度の準備・事前作業期間があります。この間、企業と主幹事を務める証券会社の関係者(ファイナンスはインサイダー情報なので少数に限られます)にとっては、上記3つのポイントについて相当負担の重い確認作業となります。
また、上記に加えてどの様なファイナンスの形態で行うのが、流通市場や株主にとって最適かアドバイスするは主幹事証券の重要な機能です。

本稿の目的は、個別企業を評価することではありませんが、株主や投資家の視点から問題が多いファイナンス事例として、昨年公募増資を実行したA社を上げたいと思います。

A社は、昨年8月月初払込で公募増資(新株の約29%)と新株予約権付社債(潜在株として約17%新株増加)のファイナンスを実行しました。合わせて希薄化率(既存株主の資本持分が薄まる)46%というのも既存株主にとっては問題ですが、ファイナンスの払込1週間後に行われた第一四半期(昨年4月から6月)で、業務の先行きの成長性に対して見通し(売上げ・利益などの予想はもともと公表していません)を引き下げたのは少し悲しいサプライズでした。これでは、新株に払い込んだ投資家は勿論、急激な株価下落に耐えた株主の立つ瀬がありません。

標題を上げたのは、最近の株価上昇で、2009年や2010年の様な大規模(発行済み株式総数の3割以上)な公募増資が、再び増加していく可能性を杞憂したからです。勿論、市場機能として企業がリスクマネーを調達するのは正常な行為ですが、株主にとって負担が大きい(株価下落リスク)大規模な公募増資は、相当の検討と覚悟をもって実行して欲しいと思います。可能なことなら、株主の負担が軽く選択肢が多くなるライツ・オファーリングは4月以降制度整備されて使いやすくなりますので、筆者としては大規模なファイナンスは、こちらを薦めます。

予兆と書きましたので、最近公表されたB社の大規模公募増資について、ファイナンス期間中ではありますが少し触れておきます。

B社の公募増資は、株式を約68%増加させる大規模な公募増資であります。また、このファイナンスの発表に先立ち、新しい中期経営計画は示され、調達する資金が何に使われどの様な効果を生むか、株主や投資家が考えやすいように配慮されています。それでも、ファイナンス関係者として筆者は以下の様な疑問を感じています。
・何故、今の時期なのか (今期の業績が確定した来期以降ではいけないのか)
・何故、公募増資でなくてはいけないのか (新株予約権付社債や第三者割当増資という手法もあるが
・・・)
・何故、劣後ローンの公表が一緒なのか (早急な資本の増強が必要なのか、若しくは格付けとの関係があるのか)
勿論、これらを判断するのは投資家であり株主ですが、せっかく世界に誇る技術がある企業なのですから、市場対応の方も頑張っていただくことを期待しています。

(※本稿はA社、B社の投資判断に資するものはありませんし、その目的をもったものではありません。)
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード