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2017/08
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空売り規制について~その機能面の問題
一般の方には、株式の空売りなど所詮買い戻すことが前提なのだから、大きなトレンドとはならないと考える方々もおられるだろう。確かに、長期の需給関係では平準化されることもある。ただし機関投資家などはロスカットルールを持って運用しているので、大きな下落は運用対象から外す理由となることもある。空売りは、市場に流動性を供給するだろうが、全く規制がない状況での空売りは大きな下落を伴って他の投資家のロスカット取引を誘引することもある。
だから金融危機時にはパニック的な投げ売りと急激な下落を避ける為、各国の金融当局は非常事態として金融株などの空売りを一時的に禁止した。日本では前回紹介したような空売り規制があるので、特別な空売り禁止措置ではなく、以下の様な措置(当初は時限措置だったが、現在まで継続)が取られ現在にいたっている。
1.株式を調達しないで売るネーキッドショートの禁止
2.大口(発行済みの0.25%)の空売りの日々の報告

1.については少し分かり難いかも知れない。もともと金融商品取引法では、株式を借りてこないで売る行為を禁止しているが、海外ファンドなどが空売りしてから株式を調達する場合があり、この行為に対して日本の法規制がどこまで及ぶのかとの議論もあった。例えば、他の国では空売りしてから株式を調達して決済できるのに、何故日本ではダメなのか・・・とは海外ファンドは言わないまでも、投資行動として一時的なネーキッドショートはあった。金融危機以降、米国を始め欧州諸国の一部では、このネーキッドシート禁止を取り入れているが、日本の金融当局が敢えてこのルールを明示したのは、海外の投資家の注文を取り次ぐ証券会社に対して、売りの場合株式の調達を確認する義務が生じるということになる。

2.については、株式を借りて大量に空売りする場合を牽制する目的ではないと思うが、毎日報告義務があり取引所で公衆縦覧されれば、他の投資家も知るところとなる。但し、前回も触れたようにこの報告は一般投資家には非常に使いづらい。(銘柄毎・取引日別の集計がされていない)

 日本の空売り規制の中で評判が悪いのは、アップティック・ルールと言われる売り下がりを禁じたものだが、このルールは米国では2007年7月に撤廃されている。しかし、日本では未だ維持されているが、少し取引の実情に合わなくなっているとの指摘(取引所など)がある。

例えば信用取引において、株式が借りられる場合でも51単位以上の成り行き売りなど出来ないが、取引などの投資単位の引き下げ要請で、1000株から100株に単元を引き下げているようなケースでは、5100株の信用売りの成り行き注文は出せない。株価が100円であれば僅か51万円である。この様な少額の取引を規制する意味は何処にあるのだろうか。

またアルゴリズム取引は、利用するファンドなどの注文を最適価格で処理する為に売り買い両方の注文を細分化して発注・取消しを処理するが、このアルゴリズム内で空売り(一応株式を調達した場合)規制の遵守はどう処理されているか一般の投資家には解らない。多分借りてきた株式以上の売りを行うだろし、売り下がる方向の制御を掛けているとは想像できない。

さらに店頭デリバティブ(例えばCFD)において、投資家と証券会社の相対取引となる部分は、アップティック・ルールを適用すること自体困難と思われる。

信用取引もアルゴリズム取引もCFDなどでも、これらを利用して空売りを行うことは市場の流動性強化の為にも必要と認められるなら、このアップティック・ルールそのものの運用について、空売り規制本来の目的に沿って見直すべき時にきている。そう感じる市場参加者は多いのではないだろうか。


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