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2017/07
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増資インサイダーの構造と現段階での対策について
 4月13日付の日経によると、SMBC日興が公表前の公募増資の情報を利用して、個人投資家に事前の勧誘活動をしていた事に対し、証券取引等監視委員会(SESC)が処分勧告をする方針を固めたことが報じられている。所謂増資インサイダー取引である。先月明らかになった大型公募に対する中央三井アセット銀行(4月以降は三井住友信託銀行に統合)の空売りインサイダー取引は、主幹事の野村の営業部員から情報が伝えられたとされているが、増資に関わるインサイダー情報漏洩の構造は全く同じだ。また昨年、海外機関投資家から指摘された2010年の大型公募増資に関わる海外ファンドなどの事前の空売り問題も、同じように主幹事証券からインサイダー情報が投資家に伝えられたことに因る。

 本来は、公表前は外部に漏れることのない公募増資の情報は、証券会社の組織内だと主に引受部門で管理されている。ただし上記の3つのケースは、何れもここから営業部門を通じて投資家に伝わったようだ。
個々のケースは別にして、主幹事会社内の構造的な問題として次のようなことが考えられる。(内容は簡略化して記載)

○発行会社から公募増資を依頼された証券会社は、引受ける為に公表日の約2カ月前に引受審査資料を受け取る。この時点では、公募情報は発行会社の担当役社員・引受主幹事の担当者達・企業の公認会計士などに発行関係者に限られ、情報が外部に漏れることはありえない。
○ただし、公募増資公表日(新株発行の為の取締役会決議)が近づくにつれ、どの様に新株を販売していくか問題になる。公募情報をもつ引受部門の担当者は、実際の投資ニーズにはタッチしないので、商品部門を通じて営業部隊が担当する投資家の意向を推量する。
大型のファイナンスなどは、海外でも募集することが多いので、どの位海外投資家に需要があるか、特定の投資家を選んで実際に聞いてみる慣行がソフトヒアリングだ。これは、公表の1週間から1ヵ月近く前に行うので、海外の機関投資家協会から批判されていた。
一方、国内の営業部門への伝達は、正式には公表後だが、どの位新株を販売しなければならないか、少なくとも営業部門の責任者には事前に伝えなければならないのは証券会社内の組織的なルールだ。

勿論、公表前に公募増資情報に関与した証券会社内部の人間・一部海外投資家が其々インサーダー情報として管理している。しかし、今回のSESCの摘発は、引受会社内におえる公募増資に関する情報の管理態勢を、一層厳格化させることとなると思われる。

 当局による規制や監督強化とは別に、現段階では以下の方法が増資インサイダーを防ぐ方法として有効と思われる。
【公募増資のあり方を発行企業側から替える】
・発行登録の利用=情報を秘さなければならないので増資インサイダーの問題が発生するが、いっそいくら調達したいという意向をオープンにして、そこから主幹事の選定などの作業に入れば良いのではないだろか。発行登録は1年若しくは2年間の発行枠の申請なので、市場の反応が芳しくなければ、時期をみることも可能だ。
・ライツ・イシューの利用=取りあえず新株を株主に割当て、不要な株主は他の投資家に権利(ライツ)を売却できるこの方法は、増資インサイダーを防ぐ方法として有効だ。権利行使されない部分を証券会社に引受けさせるコミットメント型でなければ、主幹事証券会社の選定や引受審査作業も不要になる。

市場の機能として、リスクマネーを企業が調達する機能は非常に重要だが、流通市場の健全性を守る為にもインサイダー取引など不公正取引への監視は常に強化されなければならない。発行市場・流通市場それぞれの仲介を行う証券会社の情報管理や引受のあり方が、再び問い直されている。

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