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2017/06
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投資信託の販売で何が問題なのか
 金融業は行政による規制の影響が大きなビジネスですが、その規制も時代の変化によって緩められたり強化されたりしています。その方向性は、金融商品に関わる業者にとっても、投資家にとっても、影響が大きいものですが、現状では金融審議会の議論を経て決定されることが多く、また議論の為の資料や議事録が公開されているので、政策決定のプロセスの透明性が高いと思います。議事録の記載内容についても、誰がどの様な趣旨の発言をしたか示されているので、審議会に参加していなくとも問題点などが把握しやすくなっています。つまり、問題点とそれに対する議論の文脈が外部からも分かり易くなっているので、ここで日本の資本市場に関する重要な問題が取り上げられることを期待しています。

 現在、その金融審議会において「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」が3月から始まっていますが、公募投信やJ-REITなどの今後のあり方に関する問題が取り上げられています。その会議上で以下の投資信託に関する資料が公開されていますので、ご参考下さい。問題点の全体像を把握するのに良いと思います。

「金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題」(野村総研)
「ウェルスマネジメント事業の現状」(ドイツ証券)
「投資家目線でみた投資信託の現状と課題」(LIFE MAP LLC)

それで、標題の件に絞って少し考えてみたいと思います。
上記の3つの資料からは、投信販売上の問題として主に次のことが指摘されています。

先ず大きな命題として、
○投資信託は、個人の金融資産形成に大きく寄与しているか
ということがありますが、銀行など金融機関での販売解禁から10年以上しましたので、それなりに残高は増加しています。但し、個人の金融資産に占める割合が昨年末で2.6%と、米国(11.5%)やユーロ圏(6.7%)に及びません。
投信の窓販解禁以降、販売チャネルは大きく増えているし、昔から投資信託を販売している証券会社においては、今や収入の主要な部分を投資信託に頼るようになっているのに何故か。
2つのことが日本の投信販売の事情として考えられますが、一つ目は資産運用として投信の購入する主な年代層が高齢化しているのではないかということです。毎月分配型が投信販売の主流になっていることと、また、それらの投資家層は出来るだけ高い分配金を毎月受け取りたいというニーズが強いこと。その為、投資効果を上げる為の資産運用というより、月々の資金の確保が優先される年代層が投信販売の主要な顧客となっています。
もう一つは、本来は米国の401Kの様に、資産形成層に大きく利用されるべき投資信託ですが、日本における確定拠出年金制度(DC)は利用者が400万人を超えたとはいえ、まだ制度的に改善余地が大きく、また他の日本版ISAなど少額継続投資制度(税制優遇のある)が未整備です。さらにDCに関しては、対応するファンドが総合運用型などに限定されていて、投信信託としての魅力ある商品ラインナップが揃っているとは言い難い状況です。
以上を、投信の商品供給面から纏めてみると、個人投資家の特定の層の資産運用(というより実相はキャッシュ・マネージメントに近い場合もありです)に応えてはいるものの、資産形成の為に販売サイドが注力することがあまりなかった姿が浮かび上がります。

 次に2つ目の命題として、
○個人投資家にとって、利用しやすい投信販売の仕組みになっているか
ということがあげられます。確かに、ここ2年で投信目論見書の平易化・標準化が進みましたし、一部ではインターネットで選択して購入できる投信も増えています。投信内容の分かり易さと投資家の支払うコストの低減する仕組みという意味では、進んでいるようにも思います。しかし、多くの個人投資家が求めているのは分かり易さとコストの安さだけなのでしょうか。
投資するということは、自分の耐え得るリスクも考えること、コストを証券や銀行などに支払うということは、それに見合ったサービスを受けること。このことを個人投資家が判断できるように、他の金融商品は勿論、他の投信との比較が容易となることが重要だと考えます。その為には、外国投信まで含めて日本語で書かれた目論見書の言語使用を共通化していくことが必要です。

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