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2017/09
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株式取引超高速化のメリットを享受する為に
東京証券取引所は、7月中旬より株式売買システム“arrowhead”の取引スピードを現在の2倍以上高速化して1ミリ秒以下に抑える(20日、日経)。この対応で、東証の売買スピードはニューヨーク取引所並になるという。
 一般に取引の超高速化は、流動性の向上をもたらし、市場参加者全体にそのメリットが及ぶとされているが、実際に超高速化対応する為には、直接の市場参加者のシステムの超高速化や取引情報を超高速に処理する為にアルゴリズムを利用する必要がある。所謂高頻度取引High-Frequency Trading(HFT)だが、この取引の目的は、大きく分けて次の2つになる。

○機関投資家やヘッジファンドなどが、注文を細分化したり、売り買い目的とは反対の売買を繰り返し行って、大口注文の取引コストを引き下げる。
○プロップハウスと呼ばれる裁定取引業者や証券会社の自己売買部門が、可能な限り短期間(取引リスクの極小化)で自らの利ザヤを稼ぐために行う。

また、上記の目的に沿ったアルゴリズムは、超高速で市場情報を判断し、超高速で売買注文の発注・取消しを行う必要がある為、東証のシステムに物理的に近い場所で情報処理される。これは東証のコロケーション・サービスにより、取引参加者である証券会社のアルゴリズムを取り込んだシステム設置が“arrowhead”の近くで可能となっており、またその証券会社のシステムの中に投資家のアルゴリズム取引を組み込むことも出来る(Direct Market Access=DMA取引)。

 HFTなど株式取引の超高速化は、IT技術の進歩であり、また人より早く情報を仕入れて、人より早く投資判断したいというのは、人でもシステムでも同じだろう。一体どこまで高速化が進むかという議論は専門家にお任せするとして、取引高速化のメリットが出来るだけ多くの市場参加者に及ばなければ、市場全体の発展には寄与しない。その為には、HFTなどに対抗するような取引・情報を個人投資家など非HFT利用者に提供するサービスが望まれる。

 一方、取引はシステムだけで成り立つのではなく、当然遵守すべき市場取引ルールがあり、大きくは金融商品取引法など法規制、そして取引所ルールから証券業協会ルールまで整備されている。
金商法でみると、市場における以下の行為は禁止されているし、売買注文を取り次ぐ証券会社もチェックしなければならない。
●不正行為の禁止(法第157条)=不正の手段、計画又は技巧の禁止。虚偽の表示若しくは重要な事実の表示を行わないこと。誘引目的での虚偽の相場の利用。
●風説の流布、偽計、暴行又は脅迫の禁止(法第158条)=相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。
●相場操縦行為等の禁止(法第159条)=仮装取引、馴合い取引の禁止。取引を誘因する目的を持っての行為、不実表示や見せ玉などの禁止。など

ここで市場取引ルールを敢えてあげたのは、HFT取引が市場全体の6割近くに及ぶ米国や4割近くなっている欧州において、HFTを取り次ぐ証券会社の取引内容チェック強化が行政当局より求め始められている。(詳しくは、日本証券経済研究所、清水氏“高頻度取引をめぐる規制動向”2012年4月)
簡単に言うと、ヘッジファンドであろうがプロップハウスであろうが、その売買注文は取引所の直接参加者の証券会社を通じて発注される形(例えDMAによるHFTのアルゴリズム取引でも)になるので、その軒先を貸している証券会社がちゃんと不公正取引のチェックをしているか如何が問われている。

この不公正取引行為に対するHFTのアルゴリズムチェックも然りだが、一般の投資家がHFTなどに持つ最大の反感は、一部の関係者以外にアルゴリズム取引の実態が良く分からないことにも依る。せっかくの技術革新の結果、進展している超高速取引について、実態の把握と問題点の共有こそが市場参加者全体へのメリットの享受に繋がると考えるが、その為には東証などのこの分野の情報開示が進むことを期待している。
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