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2017/09
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投資信託へのそれぞれの期待について
仕事柄、証券会社の決算資料や経営計画を読み込むことが多いが、今や営業収益の4割以上(上場証券会社ベース)を占める投資信託関連収益(募集手数料と信託報酬の販売者取り分)は、証券会社の中核ビジネスとなっている。また、金融機関の投信窓販においても、銀行が顧客から受け取る手数料の1割以上(メガバンクベース)が投信関係の手数料だ。どちらも、今後一層のリテール顧客からの収益拡大の中心に、投資信託を位置付けている。

一方、投資信託の運用会社(正確には運用を指図する投資信託委託会社)は、投資家から受け取る信託報酬の約半額分を販売する証券・金融機関に配分している。こう書くと、何か単純に販売上のキックバックのように感じるが、必ずしもそういう訳ではない。それぞれの役割分担というのが実態だ。それは、日本の公募投信の運用会社は、殆ど投資家との接点を持たない(運用会社が直接販売する公募投信は、残高ベースで約3%)からだが、投資家の投信は証券や金融機関の顧客口座において管理されていて、投資家への情報伝達は概ね販売した証券・金融機関から行われる。その部分のコストを負担しているとの考え方も成り立つ。また、主に証券会社の営業現場などから個人投資家の投資ニーズが運用会社に伝えられ、新たな公募投信の設定に繋がることもある。
少し開き直って言うなら、日本の投信ビジネスにおいて証券・金融機関などの販売会社と運用会社の協働関係は成り立っている。

 最も重要なことは、今の投資信託のあり方が、投資家の資産運用や投資目的に沿っているか如何かだが、これもある程度応えてきたと言える。例えば、運用効率といった面では批判されることが多い毎月分配型の投信は、現在残高ベースで全体の7割近くまで増加しているが、長期間続く低金利化にあって、シニア層のニーズが強い商品であることは事実だ。

 以上の様に、現状のままでも投信関連ビジネスは相応に発展していくと思われるが、個人の金融資産全体の中で投資信託の比率は2.6%に留まっていて、米国の11.6%、ユーロ圏の6.8%に遠く及ばない。投資信託に関する最大の問題は、誰しもが個人の投信保有をもっと拡大させるべきだと考えているのに、現実は2007年をピークに残高も比率も減少していることにある。

では、個人の投資信託利用を増やす為に、どの様なことが期待されているかというと、概ね次の様なことが上げられる。

【政策的な支援期待】
◎何らかの資産形成の為の仕組み作り。
・確定拠出年金制度の拡充と対象者の拡大
・日本版ISAなど少額非課税の継続投資を容易にする制度整備による、世代間の資産移転の後押し

【運用会社への期待】
◎運用能力の向上
・既に金融商品取引法によって運用会社の参入規制は緩和されているが、業界全体の運用成績を上げる為には、適正な運用競争が行われる必要がある。(現在、3分の2の公募投信が、海外ファンドを利用した運用を行っているので、その場合はファンドの選択力が重要)
◎ファンドの投資家への“分かり易さ”の向上
・既に投信目論見書の平易化は取り組まれているが、より投資家に分かり易いように運用報告書の表現方式の改善が検討されている。

【販売会社への期待】
◎新規の運用資金の取込み
・当たり前のことを書いて気が引けるが、その為には運用の目的にあった商品提供が必要で、運用会社との協働強化は欠かせない。また現在、投信の保有者比率は1割程度(野村総研調べ)と見られているが、投資家層の裾野は広い。
・資産形成層の取込みの為には、ネット利用での投信販売が重要になってくる。ネット証券の様にファンド数が多ければ選択のしやすさ、逆に確定拠出年金の現状にようにファンドが限られていれば品揃えの充実がポイントだろう。

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ジャンル : ビジネス

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