*All archives* |  *Admin*

2017/06
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
増資インサーダー取引の背景
インサーダー取引は、未公開の重要な情報をもとに株式を売買する犯罪ですが、増資インサーダー取引に関しては、別の問題もあります。

それは、公募増資の主幹事証券から、本来は厳格に管理されているはずの増資情報が、投資家のごく一部に流れたという事実です。この情報の漏えいが、直接の犯罪行為かというと、増資を依頼している企業に対する背信的な行為ではありますが、現状の金商法のインサイダー取引規定には違反していません。
勿論、証券会社であろうが弁護士や会計事務所であろうが、インサイダー情報は厳格に管理されるべきですが、増資情報を投資家に流したのでその情報を使って売買するだろうから、証券会社が情報を流す行為そのものを違反対象として新たに加えるべきという議論も、少し乱暴なように思います。
法律論の方は、識者の方々にお任せするとして、若し主幹事証券からの増資情報漏洩に何らかのペナルティを与えるとしたら、それは業界内のルールに依るべきというこが筆者の考えです。その根拠は、公募増資などを引き受けるルールは、そもそも業界内で決めているので、その中で増資情報管理の厳格さも決していくべきです。

 さて、この主幹事証券による増資情報漏洩の背景を考えていった時、引受証券会社に対するひとつの大きな疑念を抱かざるを得ません。それは、主幹事証券が本当に投資家の需要を把握しているか、若しくは把握する為の取組みに努力を払っているかということです。

話題になっている野村も日興もJPモルガンも、公表前の増資情報を本来は知るはずのない営業部門の人間が知っていたということは、情報を管理する引受部門から、どの位公募株の販売が可能か社内的な打診が行われる過程の中で起きたことと見るのが普通です。詳細の説明は避けますが、この販売打診の為の情報が、営業責任者に留まっているうちは問題ないというこが業界内の考え方です。

しかし、ここ数年の公募増資では公募増資金額が大きくまた大規模な希薄化を伴うものが目立ちました。
その為、海外でも公募株を販売する前提で、一部の海外機関投資家に対象株の需要を聞くこと(業界用語でソフトヒアリング)が、増資公表の1ヵ月から数週間前に行われていたのは事実です。流石にこのソフトヒアリングは、2011年7月にアジア・コーポレート・ガバナンス協会(Asian Corporate Governance Association)が日本企業ファイナンスに関する要望書の中で、インサイダー取引の疑念ありと指摘したことで、現在は自粛されているようです。

最近米国で起きたフェースブック上場に関する問題では、主幹事証券のモルガンスタンレーについて以下の問題があることが報じられています。
・株式公開直前に、コールドマンなど他の幹事会社の影響を排除し、自らの販売分を多く獲得した。
・株式公開の価格を、投資家の需要が多いといって大幅に引き上げた。(他の幹事会社は反対)
・公開直前のロードショー(会社内容の説明会)で、一部の機関投資家のみに業績予想の下方修正を伝えていた。
ここまで外部からみて一貫性の無い行動をとるのは珍しいのですが、主幹事として本当に投資家需要が分かっていたのかという疑問は当然おきます。

日本の主幹事証券はこれほどグリードでなくとも、大規模なファイナンスの時、本当に投資家需要を測るような努力をし、若し需要に満たないと判断した時、発行会社に減額を申し入れる決断が必要です。また大規模なファイナンスの場合は、自社需要だけではなく、他社需要も取組むシンジケーションをちゃんと行うべきです。モルガンスタンレーほどではないですが、最近の日本の主幹事証券も、主幹事への権限・販売額の集中化・集約化が進んでいました。
もう一度基本に戻り、市場全体の需要予測と他社の協力を仰ぐシンジケーションをちゃんと行うことろからやり直す必要があるのではないでしょうか。

また、時代に合わせた投資家へのプロモーション活動も検討すべきで、大規模なファイナンスの際行われる海外機関投資家向けロードショーなども、インターネット上で日本の個人投資家向けに可能となるようなルール改正を証券会社として求めても良いはないでしょうか。
(※現在は、日本国内での販売活動は目論見書利用のみ可能)

スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード